RXマイコンSCIにおける簡易I2Cを実装する

SCIで簡易I2Cを実装している。

前回、ポーリングによる実装を行い、動作する事を確認した。
動作周波数が遅いCPUなら、それでも良いのだが、120MHzで動作するRXマイコン
だと、話が変わってくる。
さすがに、100KBPS程度の通信速度をポーリングで行うのは、マシンサイクルを無駄
に消費してしまうので、許容できないと思う。
そこで、割り込み処理にするのだが、RXマイコンで、I2Cを本格的に扱うのは今回が初
めてとも言えるので、あまりよく考えていなかった。
※IICAの専用インターフェースの実装も、いまだにポーリングのみの実装になっている。
これもそのうち手を入れないといけない・・・

SCIの簡易I2Cでは、STI(I2Cアクノリッジ待ち)で、送信終了割り込みを使う
のだが、「sci.hpp」に定義をしていない。
定義を追加するのに、しばし問題があった、送信終了割り込みは、グループ割り込みとなっ
ていて、SCIのチャネルによってグループが異なっていたり、RX64MとRX65Nで
異なっていたりと、場合別けをしなければならない・・

グループベクターは、icu.hpp に定義をしているが、グループが異なると、全く別の型とな
るので、そのままでは、定義が出来ない。
そこで、SCI の基底クラスを継承させ、チャネルでグループが異なる場合を別けて実装する
ように修正した。

SCI定義:

typedef scig_t<0x0008A000, peripheral::SCI0, ICU::VECTOR::TXI0, ICU::VECTOR::RXI0, ICU::VECTOR_BL0::TEI0> SCI0;

 typedef scig2_t<0x0008A100, peripheral::SCI8, ICU::VECTOR::TXI8, ICU::VECTOR::RXI8, ICU::VECTOR_BL1::TEI8> SCI8;

※SCI1 の TE0 はグループ BL0 だが、SCI8 はグループ BL1 になっている。

クラス定義:

template <uint32_t base, peripheral t, ICU::VECTOR txv, ICU::VECTOR rxv, ICU::VECTOR_BL0 tev> struct scig_t : sci_t {

};

template <uint32_t base, peripheral per, ICU::VECTOR txv, ICU::VECTOR rxv, ICU::VECTOR_BL1 tev> struct scig2_t : sci_t {

};

※基底クラス sci_t は、そのままに、グループ別に異なったクラスを定義した。

また、SCI を使った簡易 I2C は、SCI の制御と根本的に異なるので、純粋な SCI の制御と
クラスを別け、新規に「sci_i2c_io.hpp」とした。
※RXマイコンのソースコードは、第三者を交えたレビューを行っていないので、意外と、
基本的な部分に問題がある事が多い・・・
※多分、コードレビューを行うと、かなり厳しく突っ込みを入れられる部分があるものと思
う、コードレビューを経験した人なら解ると思うが、最初は、厳しい駄目だしをされると、
不快に思ってしまう、だが、人間「慣れ」るもので、回数を重ねると、ありがたく思うよう
になり、真摯に助言を受け入れる度量と分析力が育つ。

よく、趣味でマイコンをやっている人で、コードが汚いので公開をしない人がいるが、他の
人に添削してもらえる可能性があるのなら、是非自分のコードを見てもらい、正しい道に修
正してもらった方が良い。(くれぐれも、指摘された事を自分に対する「否定」と思わない
事、冷静に何が最善なのかを考える事)
プロジェクトだと、他人に駄目だしされる事を不快に思う人種はいて、リーダーの手腕が重
要となるのだが・・

ポーリング動作で、全体の見通しがついていたので、割り込み動作に関しては、それなりに
順調に実装できた。
FT5206、I2Cの定義は以下のように行う。
※FT5206のリセットを制御するので、ポートを定義。

// FT5206, SCI6 簡易 I2C 定義
typedef device::PORT<device::PORT0, device::bitpos::B7> FT5206_RESET;
typedef utils::fixed_fifo<uint8_t, 64> RECV6_BUFF;
typedef utils::fixed_fifo<uint8_t, 64> SEND6_BUFF;
typedef device::sci_i2c_io<device::SCI6, RECV6_BUFF, SEND6_BUFF, device::port_map::option::FIRST_I2C> FT5206_I2C;
FT5206_I2C  ft5206_i2c_;
typedef chip::FT5206<FT5206_I2C> FT5206;

割り込みで処理するのは簡単で、以下のように、I2Cのインスタンスを起動する時に、割
り込みレベルを設定するだけで良い。(ポーリングの場合は「0」を設定)

{  // FT5206 touch screen controller
    FT5206::reset<FT5206_RESET>();
    uint8_t intr_lvl = 1;
    if(!ft5206_i2c_.start(FT5206_I2C::SPEED::STANDARD, intr_lvl)) {
        utils::format("FT5206 I2C Start Fail...\n");
    }
    if(!ft5206_.start()) {
        utils::format("FT5206 Start Fail...\n");
    }
}

割り込みでは、データ転送が非同期になるので、同期を行うメソッドを追加し、非同期にデ
ータが来ても誤動作しないように、FT5206の実装も見直した。

sci_i2c_io.hpp
FT5206.hpp

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