RX マイコンで ARM の牙城を切り崩せるか?

最近、秋月電子で最新のRXマイコンを取り扱うようになったー
※R5F56218BDFP(100pin)
※インターフェース5月号にも付録基板がついているが、数を作る事を考えた場合には、使えないので、デバイス単体で入手できるのはありがたい。
※Degi-Key でも扱いがあるようで、R5F56218BDFB(144pin)、1個1131円、25個だと951円と格安。

手始めに、非常に小規模なタイプR8C/11A,R8C/12A(AVRのATtiny2313クラス)、そして最近32ビットタイプである。
※R8C/11A,12A は、100円マイコンではあり、ATtiny2313より明らかに優れている部分も多い(A/Dコンバーターなど)ので、今後メインストリームで使いたいマイコンである。

自分は、6802からルネサスの前身である日立のマイコンを良く使ってきたー、6809、68000、H8、SH2、SH3など・・
※セガサターンでは、SH2が採用されていた事もあり、PSでは無くサターンに合わせてゲームも作った。
最後にまともなハードを作ったのは、80MHzのSH3基板を起こして組み込み機器に使ったのが最後であるけど、ルネサスに統合された後も、他メーカーのARMも色々使ったりして浮気はしたが、それでもやはり扱いやすさなどから好みのメーカーである。

しかし時代は替わる、もうほとんど全てがARM一色となり、全世界的にARMで統一されそうな気配なのである・・
マーケティングをサボり、消費者のニーズに答えてこなかったツケ、小回りの利く体制に出来なかった事が決めてとなり既にジリ貧感が否めない・・
※異論もあろうと思うが、自分にはそう見える。

RXマイコンは、比較的新しいアーキテクチャーである、三菱、日立、が関係を強調するルネサスにあって、各社のリソースを融合した結果生まれたこの新しいマイコンは、パフォーマンス、消費電力、コード効率など、特に組み込み系では非常に魅力的なものとなって登場してきた、価格も安く、性能も満足できる。
SHが好きな自分としては、多少複雑な気持ちなのだが、RXでは、非常に小さな規模から、かなり大きめな規模までを統一されたアーキテクトでカバーできる点が非常に正しいと感じる、リソースを集中できるし、サポートもやりやすい、いくらアーキテクトが優れていても、コストの関係でリソースを割けないと、疲弊してしまうだろう、その点、この「1本のラインで全てカバーできるかもしれない」と言う考え方は非常にシンプルで判り易く、使い手にとってもメリットが大きい。

以前の半導体では、(微細化が進んでいない時代)CISCよりシンプルな構造のRISCの方がメリットがあった、高速に動かす事が容易だったのだが、現在のように微細化が進み、複雑で大きな回路を作れるとRISC/CISCの違いはほとんどなく、CISCでも回路の工夫でいくらでも速度を出せるようになった、それゆえ、コード効率に優れるCISC系ならではのメリットを、小さなマイコンから大規模なマイコンまで反映できる、コンパイラもCISC系の方が効率を出しやすいと思う(まぁこの辺りは多少微妙ではあるけど・・)。

現状では、ARMが得意としている500MHz以上のメディアタブレット系のラインナップが無いが、そのうち出てくるだろう~、今から楽しみである。
※こちらは、デバイス単体よりIPコアが主流だろう・・

日本人だし、日本のメーカーに愛着もあるので、ルネサスさんには是非頑張って頂き、ARM の色を塗り替えるだけの力を魅せて欲しいと思う、アーキテクトが優れているのは疑いが無いのだから、自分も微力ながら応援したい~

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とりあえず、最近秋月で販売が始まったRXマイコンを使ってみようと思い、SH7125で設計を進めていた部分をキャンセルして、RX6218に交換した、プログラムはSH用にかなり色々作ってきたのだが、ここは乗換どきと考え、リソースを捨てて開発し直す決意をした、また、仮に、少しくらいARMが安くても、現状のRXマイコンの戦略がぶれないのであれば、ARMに流れる必要もないだろう~

SH7125はデバイス単価900円、RX6218は1200円で300円高いが、能力の差があからさまに違う為、今後の事も考えて、切り替えた。
自分が感じた主な特徴は・・
・100MHz動作(165DMIPS)
・512KBバイトのFlashメモリー(100MHzノーウェイト、1000回書き換え)
・96キロバイトのRAM(100MHz動作)
・32ビット単精度浮動小数点演算
・高速割り込み
・当然ながらの豊富なインターフェース(インサーネット、USBなどなど)
・SDRAMインターフェース

こんだけあれば、当分、どんな仕様でも困らないだろうう~


↑この基板は、ブラシレスモーターの制御基板である。

開発環境はKPITからgccの環境を使える。
ルネサスの専用 C も、かなり良さそうなのだが、フリー版はコードサイズに制限があり、正規版を買うコストは払えないので、使えないのと一緒、初めから gcc で行う。
後、JTAGも欲しいとこだが、当面、コスト的に見合わないので、工夫して開発を進める事とする。
※開発したソフトウェアーなどは、オープンソースにする予定なので、興味ある人は利用してもらいたい。
※SH2AやSH7125、AVR関係で作ったリソースは公開済み。

後、痛い点として、まだ、低価格なデバイス付ボードが少ない点がある、デバイスが1200円なら、せめて3000円くらいのボードをリリースして欲しいと感じる、高専でロボットをやってる人もそのくらいの値段なら沢山使ってもらえると思う、ここで沢山使ってもらえれば、高専生が卒業して企業に移った時に威力を発揮できるしね。

「RX マイコンで ARM の牙城を切り崩せるか?」への2件のフィードバック

  1. アルファプロジェクトという会社の評価ボードは比較的手頃な価格だと思います。

    http://www.apnet.co.jp/product/rx/index.html

    仕事でSH2、SH2Aを使う機会が多いため、大方はSH系を選択しているのですが、震災の影響で昨年から進めている開発品で採用したマイコンも入手困難になりました。エンコーダ入力が2系統と外部WAIT入力つきのバスコントローラが必要なアプリケーションでしたから色々探しましたが、結局国産マイコンしか使えるものがありませんでした。しかたがないのでコスト高になりますが、外部WAIT付きマイコンで探して外付けFPGAでエンコーダの処理をさせることにしました(ATMEL AT91SAM3UE+ALTERA CYCLONE2)。

    ちなみに、使用したかったエンコーダの処理なんですが、SH2とかにあるMTU2の位相計数モードと同等の機能です。これが使えるものが余りありません。しかも2系統となると・・・もしかしたら私の探し方が悪かったのかもしれませんが・・・私が調べたところ、カウンタのアップダウンまでしてINDEX信号でクリアという仕様のマイコンがほとんどです。私としてはINDEXでカウンタ値をキャプチャしてカウンタ値はそのままというのが理想で、MTU2ではそれが出来ました。RXにも同様のタイマがあるので、入手性がよければ高機能ですし、高速処理で低価格と間違いなく使いたかったマイコンです(最終的に生産が中国のためRXのような新しいものは避けました)。今後の設計ではきっと活躍すると思います。

    富士通のARM FM3シリーズもペリフェラルは使い易そうです(これのタイマユニットはやりたいエンコーダ処理ができます)。ただ、外部WAIT入力つきは、今後出てくるシリーズのようで諦めました。

    1. MTUやPWMの機能は、非常に高機能で、どんな動作が出来るか、自分の想定した機能を実現できるか、ハードウェアーマニュアルだけで評価するのは大変ですよね。
      FPGAを追加するのは、理想的なロジックを作れるので良いですが、コストが高くなるのが痛いですね。
      ※AVRは安いので、良くサブプロセッサー的に処理を分担させたりしますが、シンプルな方が良いので、シングルチップで全てカバーできれば理想的です、実験段階では、ハードで出来ない機能を別の方法なりで、ソフトウェアーとのコンビネーションでカバー出来る場合もあるのですが、「やってみないと判らない」場合もありますし、ソフトの完成度が相当高くないとハードを作れないので、多少オーバースペックと判っていても確実な方法を採用する事になるののでしょうね・・

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      以前に、富士通のマイコンを採用しようとした事がありますが、実際にサンプルを入手しようとした場合に、ほとんど入手する事ができず、量産計画(最低数千個)が無いと門前払いで、相手にしてくれないので、このメーカーのデバイスは使わない事にしています。(現在は、方針が変化したかもしれませんが、信用できないメーカーの筆頭です・・)
      ※この時は、少ない数でも、真摯に対応してくれたATMELのマイコンを使いました。

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