RXマイコン用多倍長ライブラリ (mpfr) のコンパイル

mpfr について

gmp をコンパイルして動かす事は出来たので、今度は mpfr をコンパイルする。

mpfr は gmp を使い、初等関数などをサポートしたライブラリで、ルート、ログ、三角関数など色々な関数を使えるようになる。

  • 電卓には必須のライブラリだ
  • gmp は基本的に四則演算のみを行う

mpfr をコンパイルする

まず、mpfr のソースコードを取って来る。

GNU MPFR Library

展開してコンパイル、ここでのキモは、gmp ライブラリが置いてある場所を指定する事。
※指定しないと、gmp がシェアードライブラリじゃないとリンク出来ないと思う。(前回、gmp はスタテックライブラリを作成した)

% ./configure --host=rx-elf --prefix=/usr/local/rxlib --with-gmp=/usr/local/rxlib
% make
% make install

mpfr を使ってみる

    void test_mpfr_()
    {
        mpfr_t a, c;

        mpfr_init2 (c, 50);
        mpfr_set_d (c, 2.0, MPFR_RNDD);
        mpfr_init2 (a, 50);

        mpfr_sqrt(a, c, MPFR_RNDD);

        mpfr_printf("sqrt(2): %.50RNf\n", a);

        mpfr_clear (c);
        mpfr_clear (a);
    }
Start SCI (UART) sample for 'RX64M' 120[MHz]
SCI Baud rate (set):  115200
SCI Baud rate (real): 115355 (0.13 [%])
CMT rate (set):  100 [Hz]
CMT rate (real): 100 [Hz] (0.00 [%])
    7612058254738945
*
    9263591128439081
--------------------
70514995317761165008628990709545
sqrt(2): 1.41421356237309403525159723358228802680969238281250

なるほど、簡単だー

mpfr C++ ラッパーを試す

mpfr を使う C++ ラッパーは色々ある、boost もその一つだが、RX マイコン用にカスタマイズしないと、コンパイルが通らない。

他のラッパーも試してはみたものの、基本、どれも iostream に依存していて、組み込みマイコンとは相性が悪い・・・
※非常に巨大になる・・・

つまり、これは、またしても車輪の再発名か・・・

まぁ、でも、機能を絞るのでそんなに大変じゃないのかなと思って、実験的に作ってみた。

とりあえず、四則演算が出来れば、俺俺 Arith クラス(数式解析クラス)に組み込める。

  • 数式解析は、数学的な数式を入力して、それを計算する。
  • 掛け算、割り算が優先されるとか、括弧が優先されるとか、意外と面倒だ。
  • シンボル(変数)の展開
  • 関数の展開
  • べき乗の展開
    basic_arith クラス

とりあえず、最低限必要な部分を作ってみた

オブジェクトに対してのオペレーターをそれなりに作れば、正しく動くと思う。

mpfr.hpp を実装、最低限必要そうな部分のみ実装してある。

実装では、mpfr 名前空間を作り、「value」クラスを定義した。

value クラス内に、mpfr_t 構造体を置いて、それに対する操作を列挙した。

重要なのは、四則演算などのオペレータをオーバーロードする事だ。

        bool operator == (int v) const noexcept
        {
            return mpfr_cmp_si(t_, v) == 0;
        }
        bool operator == (long v) const noexcept
        {
            return mpfr_cmp_si(t_, v) == 0;
        }
        bool operator == (double v) const noexcept
        {
            return mpfr_cmp_d(t_, v) == 0;
        }

        value& operator = (const value& th) noexcept {
            mpfr_set(t_, th.t_, rnd_);
            return *this;
        }
        value& operator = (long v) noexcept {
            mpfr_set_si(t_, v, rnd_);
            return *this;
        }
        value& operator = (double v) noexcept {
            mpfr_set_d(t_, v, rnd_);
            return *this;
        }

        const value operator - () noexcept
        {
            value tmp(*this);
            mpfr_neg(tmp.t_, tmp.t_, rnd_);
            return tmp;
        }

        value& operator += (const value& th) noexcept
        {
            mpfr_add(t_, t_, th.t_, rnd_);
            return *this;
        }

        value& operator -= (const value& th) noexcept
        {
            mpfr_sub(t_, t_, th.t_, rnd_);
            return *this;
        }

        value& operator *= (const value& th) noexcept
        {
            mpfr_mul(t_, t_, th.t_, rnd_);
            return *this;
        }

        value& operator /= (const value& th) noexcept
        {
            mpfr_div(t_, t_, th.t_, rnd_);
            return *this;
        }

        value operator + (const value& th) const noexcept { return value(*this) += th; }
        value operator - (const value& th) const noexcept { return value(*this) -= th; }
        value operator * (const value& th) const noexcept { return value(*this) *= th; }
        value operator / (const value& th) const noexcept { return value(*this) /= th; }

このくらいで、とりあえず、basic_arith で扱えるようになった。

早速、RX72N Envision Kit で動かしてみた、問題なく計算出来るようになったー

~~ 表示関係とかが、イマイチなので、整理したら、git のマスターブランチにプッシュする。~~
電卓アプリは、引き続き、機能追加などを行っていく予定。

関数電卓サンプル

RXマイコン用多倍長ライブラリ (gmp) のコンパイル

多倍長浮動小数点数

前回、電卓アプリを実験的に作ってみた。

ただ、「240MHz で動く32ビットマイコンなのに精度が64ビットの浮動小数点」なの?

これは、かなり痛い・・・

そこで、多倍長浮動小数点数などを扱えるライブラリを利用する事にした、最初、boost にある「Boost Multiprecision Library」を利用してみた。
何の問題もなく、簡単に数十桁の演算が出来る事を確認した。
しかし、RX マイコンの環境(Renesas GNU RX gcc compiler 8.3.0)では、これらのライブラリを含んだコードをコンパイル出来ない。
これは、mingw64 用の boost ソースコードを使っている為で、本来なら、boost のソースコードを RX マイコン用にカスタマイズしなければならない。

  • 多くのライブラリは、専用の物を作らなくても、対応可能な事から、この問題を避けてきた。
  • コンパイルで失敗する主な理由は、スレッド関係のようだ・・

しかし、boost を RX マイコン用にカスタマイズするのは、それはそれで大変そうだと思い、少し発想を変えてみようと思った。
また、boost のライブラリは、速度的には、古くからある、gmp、mpfr ライブラリより劣ると言われている。
※しかしながら、gmp や mpfr はライセンスが GNU なので、あえて boost を使う理由があると思える。

  • boost には、これら(gmp mpfr)のライブラリをラップしたクラスもあるが、これは完全に環境依存となっている。
  • Multiprecision のコード関係を RX マイコンに対応させるのはそれなりの労力だと思える。

とりあえず、gmp ライブラリをコンパイルしてみる。

操作は、MSYS2 上のコンソールで行う。

gmp.org

ソースコードを取ってくる。

見慣れない「lz」拡張子に対応する為、lzip をインストールしておく。

 % pacman -S lzip

続いて解凍する。

tar --lzip -xvf gmp-6.2.1.tar.lz

.configure するには、少し問題がある、gmp の configure は、Renesas GNU rx-elf 関係があるパスを正しく認識しない。
これは、パスにスペースが含まれる為で、configure を直すのも大変そうなので、とりあえず、rx-elf 関係を、mingw の「/usr/local」以下にコピーして対応した。

% cd /usr/local
% cp -r /c/Users/hira/AppData/Roaming/GCC\ for\ Renesas\ RX\ 8.3.0.202004-GNURX-ELF/rx-elf .

rx-elf 関係のパスを変更して、bash を再起動 (.bash_profile)

# rx-elf path
# PATH=$PATH:/usr/local/rx-elf/bin
# PATH=$PATH:/C/'Program Files (x86)'/'GCC for Renesas RX 8.3.0.202002-GNURX-ELF'/rx-elf/rx-elf/bin
# PATH=$PATH:/C/Users/hira/AppData/Roaming/'GCC for Renesas RX 8.3.0.202004-GNURX-ELF'/rx-elf/rx-elf/bin
PATH=$PATH:/usr/local/rx-elf/rx-elf/bin

configure を実行:

% rx-elf-gcc --version
rx-elf-gcc.exe (GCC_Build_20201001) 8.3.0.202004-GNURX 20190222
Copyright (C) 2018 Free Software Foundation, Inc.
This is free software; see the source for copying conditions.  There is NO
warranty; not even for MERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE.
% cd /d/Git/RX/gmp/gmp-6.2.1
% ./configure --host=rx-elf --prefix=/usr/local/rxlib --disable-shared

...

  Version:           GNU MP 6.2.1
  Host type:         rx-unknown-elf
  ABI:               standard
  Install prefix:    /usr/local/rxlib
  Compiler:          rx-elf-gcc
  Static libraries:  yes
  Shared libraries:  no

% make
% make install

本来、RX コア別の最適化オプションを指定した方が良いが、v1, v2, v3 で利用出来るように、「素」の状態でコンパイルした。

実際に使ってみる

とりあえず、RX64M で実験した。

/usr/local/rxlib 以下に gmp 関係のライブラリがあるので、その設定を追加する。

実験コードを(WEB からコピペ)

    void test_gmp_()
    {
        mpz_t x, y, result;

        mpz_init_set_str(x, "7612058254738945", 10);
        mpz_init_set_str(y, "9263591128439081", 10);
        mpz_init(result);

        mpz_mul(result, x, y);
        gmp_printf("    %Zd\n"
             "*\n"
             "    %Zd\n"
             "--------------------\n"
             "%Zd\n", x, y, result);

        /* free used memory */
        mpz_clear(x);
        mpz_clear(y);
        mpz_clear(result);
    }
Start SCI (UART) sample for 'RX64M' 120[MHz]
SCI Baud rate (set):  115200
SCI Baud rate (real): 115355 (0.13 [%])
CMT rate (set):  100 [Hz]
CMT rate (real): 100 [Hz] (0.00 [%])
    7612058254738945
*
    9263591128439081
--------------------
70514995317761165008628990709545
#

とりあえず問題無さそうだ。

RX マイコンに最適化するには、アセンブラのコードを gmp に追加する必要がありそうだが、今後の課題とする。

今回はここまで。

RX マイコン GUI フレームワークのエミュレーション

フラッシュROMの書き換えに時間がかかる・・

RX65N、RX72N Envision Kit で、GUI アプリケーションを作成する場合、オブジェクトがそこそこ大きくなる。
それを、マイコンにロードして動作を確認していると、一度のターンで、それなりに時間がかかり、開発効率が悪い。
GUI 系のアプリでは、現状、細かい調整や見た目重視になるので、さらにターン数は多くなり、完成度を上げるハードルが高くなる。
そこで、Windows のアプリ上で、動作を確認出来るように、エミュレーター的なアプリを作成した。

RX72N Envision Kit では、マイコン内蔵のフラッシュメモリ書き込みは、1本の端子で J-TAG をシリアライズして接続している。
※FINED 端子
その制約で、書き込み速度が RX65N Envision Kit に比べてさらに遅くなっている。(RX65N Envision Kit は J-TAG 接続)


エミュレーターと言っても、RXマイコンのバイナリーレベルで動かすのではなく、単純なAPIレベルでの動作に限定している。

俺俺フレームワークの「glfw_app」を利用し、RXマイコンから必要なソースコードを持っていき、
関係する部分をコンパイル出来るようにする。
そして、描画したフレームバッファを表示するだけとなっている。
また、マウスでクリックした状態を、タッチパネルでの操作に似せて、情報をフレームワークに送る。
※残念ながら、マルチタッチはエミュレーション出来ない。

RX マイコンの GUI フレームワークは、テンプレートで実装している部分が多く、描画部と、タッチ入力部は分離している。
なので、非常に簡単なパスを作るだけで実現できる。

実際のパス接続

GUIフレームワークで要求されるクラスは主に二つとなっている。

  • レンダリングクラス
  • タッチ入力クラス

上記二つのクラスをテンプレートパラメーターとして widget_director に参照で渡す構造となっている。

    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  Widget ディレクター
        @param[in]  RDR     レンダークラス
        @param[in]  TOUCH   タッチクラス
        @param[in]  WNUM    widget の最大管理数
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    template <class RDR, class TOUCH, uint32_t WNUM>
    struct widget_director {

また、ソフトウェアーレンダリングクラスは、描画ハードウェアーのインスタンスを参照で渡している。
描画クラスには、フォントのインスタンスが含まれる。

    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  レンダリング
        @param[in]  GLC     グラフィックス・コントローラー・クラス
        @param[in]  AFONT   ASCII フォント・クラス
        @param[in]  KFONT   漢字フォントクラス
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    template <class GLC, class FONT = font_null>
    class render {

描画ハードウェアーは、フレームバッファを管理している。
中身は、描画スクリーンのサイズと、先頭アドレスだけとなっている。

そこで、以下のようなクラスを用意した。

    static const int16_t LCD_X = 480;
    static const int16_t LCD_Y = 272;

    template <uint32_t LCDX, uint32_t LCDY>
    class glcdc_emu {
    public:
        static const uint32_t   width  = LCDX;
        static const uint32_t   height = LCDY;

    private:
        uint16_t fb_[LCDX * LCDY];

    public:

        void sync_vpos() { }

        void* get_fbp() { return fb_; }
    };
    typedef glcdc_emu<LCD_X, LCD_Y> GLCDC;

また、タッチクラスは、マウス入力をそのまま使うので、以下のようなクラスとした。

    class touch_emu {
    public:

        struct touch_t {
            vtx::spos   pos;
        };

    private:
        touch_t touch_[4];
        uint32_t    num_;

    public:
        touch_emu() : num_(0) { }

        uint32_t get_touch_num() const { return num_; }

        const auto& get_touch_pos(uint32_t idx) const {
            if(idx >= 4) idx = 0;
            return touch_[idx];
        }

        void update()
        {
        }

        void set_pos(const vtx::spos& pos)
        {
            touch_[0].pos = pos;
            num_ = 1;
        }

        void reset() { num_ = 0; }
    };

RX マイコンのサンプル「GUI_sample」を使って実験

※アプリケーションが出力する文字列を受け取り、ターミナルフレームに出力している。

これで、アプリの動作を細かく調整出来る。

GUI ビルダーも作る事が出来ると思うが、それはそれで、別の問題もある。
自分のフレームワークでは、widget の部品は、全てソースコードレベルで行っているので、ビルダーでソースコードを生成するのは簡単だが、その逆は、結構大変そうだ・・・
※一方通行で「ヨシ」とするなら簡単だが、ソースコードの管理が、それはそれで面倒・・
とりあえず、大がかかりになりそうなので、後で考える事にする・・・

何か作ってみる

とりあえず、簡単なところで、「電卓」を作ってみた、実用性もあるし、そこそこの難易度なので、それなりに有益かと思う。
もう少し、リッチなボタンが欲しいとこだが、それは、次の課題とする。
※現在の実装では、ボタンのコーナーのラウンドは、アンチエイリアスしていない。
また、プログラム電卓的な機能や、グラフ表示、など、拡張性がかなりあると思うので、今後機能を追加していこうと思う。

  • グラフ表示が出来る電卓は、購入するとなると、それなりの値段がするので、自分で作るには面白いガジェットかもしれない。
  • スマホで動く高機能な電卓が色々あるのだけど自分で作るのは、それだけで楽しい。

RX72N Envision Kit で動かした場合。


右の空きスペースは、関数電卓用のボタンを配置する予定。

とりあえず、PC で動作確認を行い、実際にターゲットでも同じように動作する事を確認できた。
今まで複雑な描画を含むアプリ作成は、効率が悪かったが、これからは、かなり効率良く開発出来ると思う。

CALC_sample

C++によるRXマイコンCANドライバー(その4)

不具合修正

不具合を修正してブラッシュアップした。

  • リモートフレームを受信しない不具合を修正
  • 複数メールボックス割り込みの修正
  • 拡張 ID 受信の不具合修正

通常モードでは、メールボックスのフラグ設定により、受信するメールボックスが決定する仕様のようだ・・・

  • メールボックスの「RTR」が「1」なら、リモートフレームを受信
  • メールボックスの「RTR」が「0」なら、データフレームを受信
  • メールボックスの「IDE」が「1」なら、拡張 ID フレームを受信
  • メールボックスの「IDE」が「0」なら、標準 ID フレームを受信

最低でも4つのメールボックスで「待ち」状態にしないと、全てを受信できない・・
また、先のバージョンでは、メールボックスに対する割り込みフラグが正しく設定されていないようだったので、それも修正した。
※割り込み受信処理中にも受信が可能なように、8つのメールボックスをアクティブにしている。

Start CAN sample for 'RX64M' 120[MHz]
CAN command version: 0.86
CAN0: SPEED: 1000000 [bps], BRP: 3, TSEG1: 12, TSEG2: 7, SJW: 4
    RX Interrupt level: 1, TX Interrupt level: 1
CAN1: SPEED: 1000000 [bps], BRP: 3, TSEG1: 12, TSEG2: 7, SJW: 4
    RX Interrupt level: 1, TX Interrupt level: 1
#
# ch 1
# send 0x123
# map
R      1 S:x0000123 (291)
ID = 1 / Total = 1, Records = 0, Df = 0, Rf = 1
# send_loop 50
# map
D      1 S:x0000079 (121)
D      1 S:x00002B2 (690)
D      1 S:x00001C8 (456)

...

D      1 S:x000014E (334)
D      1 S:x000028C (652)
R      1 S:x0000123 (291)
D      1 S:x00002CB (715)
D      1 S:x00002BD (701)
D      1 S:x000000C (12)

...

D      1 S:x00000DB (219)
ID = 49 / Total = 51, Records = 204, Df = 48, Rf = 1
#
# dump 0x123
R      1 S:x0000123 (291)
R: ID: std 0x123 (291)
(0):
TS: 47248
# dump 219
D      1 S:x00000DB (219)
D: ID: std 0x0DB (219)
(2): D8 68
TS: 22193

リモートフレーム、データフレームの扱いについて、理解したので、表示も修正した。
※send 時、ID だけ設定するとリモートフレームを送信するようになっている。

RX66T の CAN ポート設定

RX66T では、CAN は1チャネルのみだが、候補が7番まであるので、それに伴って、port_map クラスを修正した。

        static bool sub_can_(option opt, bool enable)
        {
            uint8_t sel = enable ? 0b10000 : 0;
            switch(opt) {
            case option::FIRST:
                // PE0/CRX0 (22/144) 1ST
                // PD7/CTX0 (23/144)
                PORTE::PMR.B0 = 0;
                PORTD::PMR.B7 = 0;
                MPC::PE0PFS.PSEL = sel;
                MPC::PD7PFS.PSEL = sel;
                PORTE::PMR.B0 = enable;
                PORTD::PMR.B7 = enable;
                break;
            case option::SECOND:
                // PF3/CRX0 (31/144) 2ND
                // PF2/CTX0 (32/144)
                PORTF::PMR.B3 = 0;
                PORTF::PMR.B2 = 0;
                MPC::PF3PFS.PSEL = sel;
                MPC::PF3PFS.PSEL = sel;
                PORTF::PMR.B3 = enable;
                PORTF::PMR.B2 = enable;
                break;
            case option::THIRD:
                // PB6/CRX0 (40/144) 3RD
                // PB5/CTX0 (41/144)
                PORTB::PMR.B6 = 0;
                PORTB::PMR.B5 = 0;
                MPC::PB6PFS.PSEL = sel;
                MPC::PB5PFS.PSEL = sel;
                PORTB::PMR.B6 = enable;
                PORTB::PMR.B5 = enable;
                break;
            case option::FOURTH:
                // PA7/CRX0 (52/144) 4TH
                // PA6/CTX0 (53/144)
                PORTA::PMR.B7 = 0;
                PORTA::PMR.B6 = 0;
                MPC::PA7PFS.PSEL = sel;
                MPC::PA6PFS.PSEL = sel;
                PORTA::PMR.B7 = enable;
                PORTA::PMR.B6 = enable;
                break;
            case option::FIFTH:
                // PA1/CRX0 (58/144) 5TH
                // PA0/CTX0 (59/144)
                PORTA::PMR.B1 = 0;
                PORTA::PMR.B0 = 0;
                MPC::PA1PFS.PSEL = sel;
                MPC::PA0PFS.PSEL = sel;
                PORTA::PMR.B1 = enable;
                PORTA::PMR.B0 = enable;
                break;
            case option::_6TH:
                // PC6/CRX0 (62/144) 6TH
                // PC5/CTX0 (63/144)
                PORTC::PMR.B6 = 0;
                PORTC::PMR.B5 = 0;
                MPC::PC6PFS.PSEL = sel;
                MPC::PC5PFS.PSEL = sel;
                PORTC::PMR.B6 = enable;
                PORTC::PMR.B5 = enable;
                break;
            case option::_7TH:
                // P23/CTX0 (96/144) 7TH
                // P22/CRX0 (97/144)
                PORT2::PMR.B3 = 0;
                PORT2::PMR.B2 = 0;
                MPC::P23PFS.PSEL = sel;
                MPC::P22PFS.PSEL = sel;
                PORT2::PMR.B3 = enable;
                PORT2::PMR.B2 = enable;
                break;
            default:
                return false;
            }
            return true;
        }

有効な ID だけ通すフィルター

can_io クラスでは、フィルター機能を使っていない。
RX マイコンの CAN では、フィルターの設定が面倒で、数に制限がある為、実際のアプリでは、適応するのが難しいかもしれない。

ハードウェアーの機能を使えば、処理負荷を軽減できるものの、実用性が怪しい、また、異なるハードウェアー(RSCAN)などで、コードの再利用が難しくなる。

C++ では、特定の ID だけ通す(通さない)フィルターを簡単に実装出来る。
今回「boost::unordered_set」を使った。
※「std::unorderd_set」よりバイナリーが小さくなる。

まず、通すリストを構築する。

    // 有効な ID だけ通すフィルター
    typedef boost::unordered_set<uint32_t> VALID;
    VALID   valid_{ 0x123, 0x200, 0x300, 0xaaa, 15, 21, 33 };

非常に簡単だw

次に、メインループで、受信したフレームをディスパッチする際に、上記フィルターがヒットするか確認する。

        while(can1_.get_recv_num() > 0) {
            auto frm = can1_.get_recv_frame();
            if(valid_.find(frm.get_id()) != valid_.end()) {
                utils::format("\nCAN1:\n");
                CAN::list(frm, "  ");
            }
        }

この場合、CAN1 に受信したフレームで、「有効」な ID だけ表示する。

# send 0x123 0
CAN1:
  D: ID: std 0x123 (291)
  (1): 00
  TS: 29604
#
# send 0x1 1 2 3
# send 200 5 6 7
# send 0x200 5 6 7
#
CAN1:
  D: ID: std 0x200 (512)
  (3): 05 06 07
  TS: 41568
#

「unorderd_set」は、ハッシュを使って効率よく探すので、探す ID が多くても、検索にかかる負荷は小さくて済むものと思う。
また、「通す ID」を追加したり、削除したりも簡単に出来る。

今回はここまで。

C++によるRXマイコンCANドライバー(その3)

複数メールボックスの利用

以前の実装では、送信も受信も1つのメールボックスを使っていたが、少なくとも「受信」では、1つの受信時、割り込み処理で、メールボックスから、フレームを取り出してバッファに積む間に、別の ID を受信していると、そのフレームをロストしてしまう。
そこで、複数のメールボックスを利用するように修正した。

送信側も複数のメールボックスを利用するように修正。

can_io テンプレートのプロトタイプは以下のようになった。

    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  CAN 制御クラス
        @param[in]  CAN     CAN 定義クラス
        @param[in]  RBF     受信バッファクラス (utils::fixed_fifo<can_frame, N>)
        @param[in]  TBF     送信バッファクラス (utils::fixed_fifo<can_frame, N>)
        @param[in]  PSEL    ポート候補
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    template <class CAN, class RBF, class TBF, port_map::option PSEL = port_map::option::FIRST>
    class can_io : public can_io_def {

アプリケーションからは、以下のように「typedef」して使う。

    // CAN 受信バッファの定義
    typedef utils::fixed_fifo<device::can_frame, 256> CAN_RXB;
    // CAN 送信バッファの定義
    typedef utils::fixed_fifo<device::can_frame, 128> CAN_TXB;

    typedef device::can_io<device::CAN0, CAN_RXB, CAN_TXB, CAN0_PORT> CAN0;
    CAN0    can0_;

CAN/ID の収集と解析

とりあえず、「can_io」クラスは、送信、受信が行えるようになったので、CAN バスの解析機能を実装してみた。

新規に「can_analize」テンプレートクラスを追加して、内部で、CAN/ID を動的に収集して、表示する。

ID の収集には、「boost/unordered_map.hpp」を利用したが、標準で用意されている「std::unordered_map」は、関連クラスの関係でリンクが難しい事が判った為だ。
boost の方が小回りが利く。
※この利用では、何故か、浮動小数点ライブラリをリンクする必要があるようだ・・・

ID を動的にソートして収集するには「std::map」が良いが、「std::map」は、ツリー式で、件数が増えるとメモリの肥大化が問題になると思われる。
※計測はしていないが、経験的にハッシュを使う「unordered_map」の方が高速で省メモリなのではと思う。
※使用メモリも、件数によると思う、これも調査していないので何とも言えない。
※また、たとえば、車の CAN、工作機械などの CAN などで、標準的に利用している ID の数も、今はまだ理解していない。
※コード的には、コンテナの扱いが同等なので、どちらでも利用出来る。

        typedef boost::unordered_map<uint32_t, info_t> MAP;
//      typedef std::map<uint32_t, info_t> MAP;
  • どちらかを有効にする。
  • 実行ファイルは、「std::map」の方が若干大きくなる。

解析機能は、CAN0 側にのみ付けているので(両方付ける事も出来る)、ループ接続で実験する際は、CAN1 側から送信する必要がある。


これらの機能実装は、C++ ならではで、組み込みマイコンでも、boost がまともに動くのは、便利としか言いようが無いw

送信と受信の様子:

Start CAN sample for 'RX64M' 120[MHz]
CAN0: SPEED: 1000000 [bps], BRP: 3, TSEG1: 12, TSEG2: 7, SJW: 4
    RX Interrupt level: 1, TX Interrupt level: 1
CAN1: SPEED: 1000000 [bps], BRP: 3, TSEG1: 12, TSEG2: 7, SJW: 4
    RX Interrupt level: 1, TX Interrupt level: 1
# ch 1
# send 0x100 1 2 3
# map
     1 S:x0000100 (256)
Total = 1
# dump 256
     1 S:x0000100 (256)
ID: std 0x100 (256)
DATA(3): 01 02 03
TS: 11269
# send 123 5 6 7
# send 500 67 90 200
# send 300 100 99 100
# map
     1 S:x000012C (300)
     1 S:x00001F4 (500)
     1 S:x000007B (123)
     1 S:x0000100 (256)
Total = 4
# dump 500
     1 S:x00001F4 (500)
ID: std 0x1F4 (500)
DATA(3): 43 5A C8
TS: 14498
# send 500 0x8A 0xcb 0xfe 0x24
# map
     1 S:x000012C (300)
     2 S:x00001F4 (500)
     1 S:x000007B (123)
     1 S:x0000100 (256)
Total = 4
# dump 500
     2 S:x00001F4 (500)
ID: std 0x1F4 (500)
DATA(4): 8A CB FE 24
TS: 9925
#

「send_loop」コマンドを追加。
ランダムなデータを送信するテストを行った:

# ch 1
# send_loop 100
# map
     1 S:x00002A4 (676)
     1 S:x0000301 (769)

...

     1 S:x000013D (317)
     2 S:x0000260 (608)
     1 S:x0000015 (21)
     1 S:x000031D (797)
     1 S:x00000D6 (214)
     1 S:x0000228 (552)
Total ID = 92 / Total count = 100, Total Record = 367
# send_loop 100
# map
     1 S:x000008A (138)
     1 S:x000026E (622)
     1 S:x0000028 (40)
     1 S:x0000116 (278)
     1 S:x00001BD (445)
     1 S:x00001AC (428)

...

     2 S:x00000F7 (247)
     1 S:x00000DB (219)
     1 S:x000013D (317)
     1 S:x00002E9 (745)
     1 S:x00000A6 (166)
     1 S:x0000228 (552)
Total ID = 170 / Total count = 200, Total Record = 678
# send_loop 50
# map
     1 S:x000012E (302)
     1 S:x00000C8 (200)
     1 S:x0000070 (112)
     1 S:x0000077 (119)
     1 S:x00000DA (218)

...

     2 S:x00000F7 (247)
     1 S:x000013D (317)
     1 S:x00002E9 (745)
     1 S:x0000228 (552)
Total ID = 210 / Total count = 250, Total Record = 853
#

とりあえず、ちゃんと動いているようだ。

    ch CH-no               set current CAN channel (CH-no: 0, 1)
    send CAN-ID [data...]  send data frame
    stat MB-no             stat mail-box (MB-no: 0 to 31)
    list MB-no             list mail-box (MB-no: 0 to 31)
    map [CAN-ID]           Display all collected IDs
    clear                  clear map
    dump CAN-ID            dump frame data
    send_loop NUM          random ID, random DATA, send loop
    help                   command list (this)

新しいコマンドを追加したサンプルはプッシュ済み

今回はここまで。

C++によるRXマイコンCANドライバー(その2)

MB (メールボックス)レジスタクラスを一応改修

CAN で、厄介なのは、MB レジスタ。
ここだけは、概念がかなり他と違う、一つのパーテーションが 16 バイトなので、通常のレジスタアクセスクラスではサポート出来ない。

そこで、専用の実装を考えた。
※本来は、直接アクセスしなくても、サポートクラスを定義して、丸ごとコピーすれば良い。
※技術的な興味から実装

  • 「DLC」はバイトアクセス
  • 「DATA」は 8 バイト分のアクセスを行うクラスを追加
  • 「TS」は 16 ビットアクセス
  • それ以外は 32 ビットアクセス
  • SID、EID をまとめて設定、読出し出来るように関数を追加「get_id()、set_id()」
  • 全体を初期化する関数を追加「clear()」
  • 全体をコピーする関数を追加「copy()」(他のメールボックスから丸ごとコピーする場合)
  • 「=」オペレーターを「private」に(代入禁止)
        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  メールボックスレジスタ j ( MB[j] )( j = 0 ~ 31 )
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        struct mb_t {
            typedef rw32_index_t<base +  0> io0_;
            typedef rw8_index_t <base +  4 + 1> io1_;
            typedef rw16_index_t<base + 12 + 2> io3_;

            bits_rw_t<io0_, bitpos::B0,  18>  EID;
            bits_rw_t<io0_, bitpos::B18, 11>  SID;
            bit_rw_t <io0_, bitpos::B30>      RTR;
            bit_rw_t <io0_, bitpos::B31>      IDE;

            bits_rw_t<io1_, bitpos::B0, 4>    DLC;

            struct data_t {
                volatile uint8_t& operator [] (uint32_t n) {
                    return *reinterpret_cast<volatile uint8_t*>(io0_::address() + 6 + n);
                }
            };
            data_t  DATA;

            io3_    TS;

            void set_index(uint32_t j) {
                if(j < 32) {
                    io0_::index = j * 16;
                    io1_::index = j * 16;
                    io3_::index = j * 16;
                }
            }

            void clear(uint32_t d = 0) {
                auto a = io0_::address();
                wr32_(a,      d);
                wr32_(a +  4, d);
                wr32_(a +  8, d);
                wr32_(a + 12, d);
            }

            void copy(uint32_t idx) {
                wr32_(io0_::address() +  0, rd32_(base + idx * 16 +  0));
                wr32_(io0_::address() +  4, rd32_(base + idx * 16 +  4));
                wr32_(io0_::address() +  8, rd32_(base + idx * 16 +  8));
                wr32_(io0_::address() + 12, rd32_(base + idx * 16 + 12));
            }

            uint32_t get_id() {
                return SID() | (EID() << 11);
            }

            void set_id(uint32_t id) {
                SID = id & 0x7ff;
                EID = id >> 11;
            }

            mb_t& operator [] (uint32_t idx) {
                set_index(idx);
                return *this;
            }
        private:
            void operator = (const mb_t& t) {
            };
        };
        typedef mb_t MB_;
        static  MB_ MB;

これで、CAN 関係で、気になっていた部分は、納得いく範囲で、抽象的にアクセス出来るようになったと思う。

割り込み関係の整備と設計

本格的な上位層を実装する前に、割り込み関係の動作を確認しようと思う。

また、FIFO の機能をどうするか?
ハードウェアーで持ってる FIFO も、中途半端で微妙だよなぁー・・・
FIFO が4つくらいあっても、1パケット(フレーム)が100マイクロ秒前後なので、激しい通信がある場合は足りないと思う。
結局、ソフトで FIFO を作って、突発的に増えた場合の通信量を吸収するしかない。

経験的に、割り込み関数内でガッツリ実装するのは良くないと判っている。(それしか方法が無い場合もあるけど・・)
大抵、そんな事をしなくても、何とかなるし、割り込み内からコールバックを呼んでも、そこから出来る事は限られる。
※本当はコールバックも呼びたくない、もし、重い処理を実装されたら、終わってしまうから・・


RX64M の CAN では、割り込みは、SELB 選択型割り込みになっていて、4つの割り込みがある。
エラー割り込みは、BE0 グループ割り込みになっている。

    typedef can_seli_t<0x00090200, peripheral::CAN0,
        ICU::VECTOR_SELB::RXF0, ICU::VECTOR_SELB::TXF0,
        ICU::VECTOR_SELB::RXM0, ICU::VECTOR_SELB::TXM0, ICU::VECTOR_BE0::ERS0> CAN0;

RX66T では、エラー割り込みの「型」は同一だが、他は通常割り込みになっている。

    typedef can_norm_t<0x00090200, peripheral::CAN0,
        ICU::VECTOR::RXF0, ICU::VECTOR::TXF0,
        ICU::VECTOR::RXM0, ICU::VECTOR::TXM0, ICU::VECTOR_BE0::ERS0> CAN0;

icu_mgr クラスは、「割り込み型」により異なる関数が定義してあるので、C++ コンパイラが自動的に適切な関数を選ぶ、ドライバー側は「型」を意識する必要が無く、プログラムがシンプルになる。

  • #ifdef などで、CPU の違い毎に動作を別ける実装をしなくて済む。
  • 実際には、can のレジスタ定義では、CPU 毎の定義で「別けて」いるけど、その上位層では、感知しなくて済む。
  • つまり、この仕組みは、新規に CPU が追加されても、下位層でそのサポートを行えば、上位層のコードをケアする必要が無い。
 static ICU::VECTOR set_interrupt(ICU::VECTOR vec, utils::TASK task, uint8_t lvl) noexcept;
 static ICU::VECTOR set_interrupt(ICU::VECTOR_SELB sel, utils::TASK task, uint8_t lvl) noexcept;

※ちょっと不思議なのは、MIER メールボックス割り込み許可レジスタが、RESET 時不定になっている。
他にも不定になっているレジスタがいくつかある・・・


割り込み関係では、厄介な事がある、割り込みが起動した時、どのメールボックスによる要因なのかが判らない。
一応、調べる機構はあるが、送信と受信がシェアされているので、受信にしか使えない・・

送信は、同時に複数のフレームを送信しないので、それでも良いかもしれない・・

とりあえず、メールボックス 4 を送信専用にして、それを使って送信を行った。
問題無く、送信出来ていて、送信割り込みも機能する事を確認した。
※割り込みを使わない場合は物理的に難しいので、割り込みを使う事が前提となる。

CAN での受信は、色々と考える事が多い:

  • 固定 ID で来るデータを周期的に観るだけの場合。
  • 固定 ID で来るデータ全てに応答する場合。
  • どんな ID が来ているかを集計したい場合。(アナライザ的な機能)
  • ID 集計後に、無視する ID、観測する ID、応答する ID を決定する場合。
  • ID に個別の処理(コールバック)を設定する場合。

アプリケーションを作る場合、柔軟な構成にしたいので、上記の事を考えた設計をしたいが、RX マイコンの CAN 機能だけでは、難しい・・・

ID の範囲が「標準」のみなら、2048個なので、ルックアップするのは現実的だが、「拡張 ID」だと29ビットあるので、少し難しい。
STL の場合、「std::set]、「std::unorderd_set」を使えば、簡単に出来るが、内部で記憶割り当てを使うので、メモリの少ないマイコンの場合は使いたくないのも事実・・・
さてどうするか?

CAN 動作モードの切り替え(注意)

            // CAN オペレーションモードに移行
            uint8_t idfm = 0b10;  // 標準 ID モード、拡張 ID モード、ミックス
            uint8_t bom  = 0b00;  // ISO 11898-1 規格、バスオフ復帰モード
            CAN::CTLR = CAN::CTLR.CANM.b(0b00) | CAN::CTLR.SLPM.b(0) | CAN::CTLR.IDFM.b(idfm)
                | CAN::CTLR.BOM.b(bom);

            // CAN オペレーションモードに移行するまで待機
            while(CAN::STR.RSTST() != 0 || CAN::STR.HLTST() != 0) {
                sleep_();
            }

上記のように、CAN の動作モードを切り替えると、実際にモードが切り替わるまで遅延があるようだ。
オペレーションモードに移行した事を確認してから、次の動作を行う必要がある。
※そうしないと、制御レジスターの書き換えが失敗するなどの問題がある。
※一応、それらしい事が書いてあるが、レジスタの説明に書くべきだろうと思う。

MCTL レジスタの書き換えには注意

ハードウェアーマニュアルに書いてあるが、ビットを OFF にするには、色々と制約と順番などがある。
これは、注意を要する。

RX マイコンの CAN 関係の実装は、落とし穴が沢山あって、簡単では無いなぁーと感じる・・・
要は、あまり完成度が高く無いと感じる、だから RX24T で新しい CAN (RSCAN) になったのかもしれない。
そんな事を言っても仕方無いので、少しづつ機能を確認しつつ追加して、何とか完成させるしかない。

受信割り込みの確認

結局、SCI と同じように FIFO を使って受信動作を実装した。
なので、現状では、ID をマスクしたり、監視する機能は、全てソフトで行う必要がある。
パフォーマンスは犠牲になるが、当面はそれで良い、柔軟性が重要だ、パフォーマンスに問題が起こったら、マスクフィルタの設定などを追加すれば良い。

Start CAN sample for 'RX64M' 120[MHz]
CAN0: SPEED: 1000000 [bps], BRP: 3, TSEG1: 12, TSEG2: 7, SJW: 4
    RX Interrupt level: 1, TX Interrupt level: 1
CAN1: SPEED: 1000000 [bps], BRP: 3, TSEG1: 12, TSEG2: 7, SJW: 4
    RX Interrupt level: 1, TX Interrupt level: 1
# send 0x100 0 1 2 3 4 5
#
CAN1:
  ID: std 0x100 (256)
  DATA(6): 00 01 02 03 04 05
  TS: 51713

# ch 1
# send 0x200 10 20 30 99 0x7f
#
CAN0:
  ID: std 0x200 (512)
  DATA(5): 0A 14 1E 63 7F
  TS: 43785

# ch 0
# send 0x450 0
#
CAN1:
  ID: std 0x450 (1104)
  DATA(1): 00
  TS: 12821

#

※ CAN0、CAN1 の送信、受信の確認


今回はここまで。

ソースコードは、github RX/CAN_sample にある。

C++によるRXマイコンCANドライバー(その1)

RX マイコン内蔵 CAN ドライバーの実装

RXマイコンには、CAN を内蔵しているデバイスがある。

RX マイコンの CAN ペリフェラルは機能が豊富で、CAN 全体の構成も複雑なので、柔軟な「管理」を考えるとインターフェースが難しい・・

「送信」も、「受信」も、色々なバリエーションが考えられるので、どのような構成が「正解」なのか色々考える必要がある。
※機能が豊富過ぎると、どのような構成にすると、メリットが大きいのか考える必要があり、実験や調査に時間がかかりそうだ・・

とりあえず、どのような構成にするのがベストなのかイマイチ判らないのと、CAN についての知識が不足しているので、ハードウェアー機能を網羅するような対話形式のインターフェースを作り、実験しながら考えていく事にする。
※もう十年以上前に、仕事で、Autosar 準拠の機器で Linux ドライバーを実装した事があるが、その頃とは状況が異なっている・・
Autosar は上位の層で、自分が担当したのは、下位の層、ハードウェアーを直接操作して、CAN デバイスを操作するドライバーだった、Linux ドライバーは初めてで、それなりに苦労した事を覚えている・・・

  • CAN の通信 IC は Philips 製で、それが、PCI を介して接続されていたと思う。
  • この時は、単純な機能しか無かったので、ソフトで色々な機能をサポートしていた、ドライバーはシンプルなものだった。

RX24T は、初期のバージョンでは、CAN が無かったが、新しいバージョンでは、CAN が追加された、ただ、今までの CAN とは異なる構成になっている。
その為、同じドライバーでは、面倒を見れないと思える、これもどうするのが良いのか悩む要因の一つだ・・・
※RSCAN と呼ばれるペリフェラルに置き換わっている。
※RX66Tは、従来通りの CAN となっている。


別の問題として、CAN 関連レジスタにアクセスするテンプレートが一筋縄ではいかない構成なので、それもスマートに解決する必要がある。
※メールボックスレジスタ(32個ある)などにアクセスするテンプレートが思うように作れなかったので、中途な状態になっていた、最初は、それの改善方法を考える事から始める。

レジスタクラスを改造する

CAN には、「メールボックス」が32個あり、同等なアクセスを提供している。

しかし、レジスタ定義テンプレートクラスは、単独、1個のレジスタを想定して設計されている為、どのようにアクセスするか、悩んでいた。

テンプレートクラスの場合、アクセスするアドレスは固定となっている為、さらにインデックスを加えてアクセスするようには出来ていない。
そこで、「インデックス」付きアクセスを実現する為、最終的にレジスタメモリにアクセスするクラス「rw8_t」とは別クラスを追加した。

    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  Read/Write 8 bits アクセス・テンプレート、インデックス付
        @param[in]  adr アドレス
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    template <address_type adr>
    struct rw8_index_t {
        typedef uint8_t value_type;

        static uint32_t index;

        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief アドレスの取得
            @return アドレス
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        static address_type address() noexcept { return adr + index; }

        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  書き込み
            @param[in]  data    書き込み値
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        static void write(value_type data) noexcept {
            wr8_(adr + index, data);
        }

        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief 読み出し
            @return 読み出し値
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        static value_type read() noexcept {
            return rd8_(adr + index);
        }

...

    };

改造は簡単な物で、変数として「index」を追加して、事前に「index」を設定してからアクセスする事で、基底アドレス+index にアクセス出来る。
注意しなければならないのは、「adr」が同じテンプレートの場合、static で宣言されている「index」は共有されてしまうが、都合の良い事に、そのような場合が起こるのは「稀」だと思える。

メールボックス制御レジスタクラスは、元々、MCTL0 ~ MCTL31 が定義されている。
しかし、そのインスタンスでアクセスするのでは、冗長になる。
そこで、上記の「rw8_index_t」クラスを使い、index 分のアクセスを行えるように改修した。

さらに、「operator []」でアクセスできるように、「[]」をオーバーロードした。
operator の「戻り」は参照を使って、自分を戻しているので、インデックス付きアクセスが出来る。

    //-----------------------------------------------------------------//
    /*!
        @brief  メッセージ制御レジスタ j( MCTLj )( j = 0 ~ 31 )
        @param[in]  ofs オフセット
    */
    //-----------------------------------------------------------------//
    template <uint32_t ofs>
    struct mctl_t : public rw8_index_t<ofs> {
        typedef rw8_index_t<ofs> io_;
        using io_::operator =;
        using io_::operator ();
        using io_::operator |=;
        using io_::operator &=;

        void set_index(uint32_t j) { if(j < 32) { io_::index = j; } }

        bit_rw_t <io_, bitpos::B0>  SENTDATA;  // Send mode
        bit_rw_t <io_, bitpos::B0>  NEWDATA;   // Recv mode
        bit_rw_t <io_, bitpos::B1>  TRMACTIVE; // Send mode
        bit_rw_t <io_, bitpos::B1>  INVALDATA; // Recv mode
        bit_rw_t <io_, bitpos::B2>  TRMABT;    // Send mode
        bit_rw_t <io_, bitpos::B2>  TMSGLOST;  // Recv mode

        bit_rw_t <io_, bitpos::B4>  ONESHOT;

        bit_rw_t <io_, bitpos::B6>  RECREQ;
        bit_rw_t <io_, bitpos::B7>  TRMREQ;

        mctl_t& operator [] (uint32_t idx)
        {
            set_index(idx);
            return *this;
        }
    };
    typedef mctl_t<base + 0x0620> MCTL_;
    static  MCTL_ MCTL;

この改修で、以下のように自然にアクセスする事が出来るようになった。

    CAN::MCTL[idx] = CAN::MCTL.TRMREQ.b(1);

    CAN::MCTL[idx].TRMREQ = 1;

RX64M で送信、受信実験

以前に CAN バス・トランシーバー VP230 が乗った基板を購入した(中華製)このトランシーバーは 3.3V で動作するので、RX64M で動かすのには都合が良い、ターミネーター抵抗(120 オーム)も付いている。

ドライバーを作りこむのに、実験環境を作らなければならないが、送信側、受信側を別々にすると、二台のボードで実験する事になり、デバッグの手順が複雑になる。

RX64M は、CAN を3チャネル持っているので、CAN0、CAN1 を使って、相互に接続し、1台で、送信と受信が出来るような構成にした。

ボーレートの設定

RX マイコンの CAN はボーレートの設定が多少複雑だ、ドライバークラスは、複雑な設定を隠蔽して、簡単な設定を自動で行えるようにしなければメリットが薄い。
また、間違った設定を構造的に出来なくする事も重要だ。

CAN は、1ビットを送受信する過程で、色々な処理をするので、このような複雑なものになっているようだ。

RX マイコンの CAN では、1 ビットを「TQ」と呼ばれる値(ビットタイム)で分割し、これが、8~25になるようにボーレートを設定する。

TQ は、SS、TSEG1、TSEG2、を合計した物で、以下のような関係になっている。

SS = 1 Tq
TSEG1 = 4 Tq ~ 16 Tq
TSEG2 = 2 Tq ~ 8 Tq
SJW = 1 Tq ~ 4 Tq
TSEG1 > TSEG2 ≧ SJW

まず、「余り」が0になるような TQ 値を求める。
※そうしないと、割り切れない場合、微妙な通信速度になり、標準的な機器と通信出来ない。

    // 通信速度に対する、TQ 値 8 to 25 で適切な値を選ぶ
    // より大きい値で適合した値を選択
    uint32_t tq = 25;
    while(1) {
        if((get_can_clock_() % (static_cast<uint32_t>(speed) * tq)) == 0) {
            break;
        }
        tq--;
        if(tq < 8) {  // 割り切れない場合エラーとする
            format("(1)BRP divider indivisible...\n");
            return false;
        }
    }

-「get_canclock()」は、PCLKB(60MHz)となる。

  • 「speed」は、enum class で定義してあり、キャストして整数としている。
    enum class SPEED {
        _50K  =    50'000,  ///<  50 Kbps(標準ではない)
        _100K =   100'000,  ///< 100 Kbps(標準ではない)
        _125K =   125'000,  ///< 125 Kbps
        _250K =   250'000,  ///< 250 Kbps
        _500K =   500'000,  ///< 500 Kbps
        _750K =   750'000,  ///< 750 Kbps(標準ではない)
        _1M   = 1'000'000   ///< 1 Mbps
    };

次に、TSEG1、TSEG2 の配分を決める。

    uint32_t tseg1 = 16;
    uint32_t tseg2 = 8;
    uint32_t sjw = 1;  // とりあえず固定

    while(1) {
        if(tq == (1 + tseg1 + tseg2)) break;

        tseg1--;
        if(tq == (1 + tseg1 + tseg2)) break;
        else if(tseg1 < 4) {
            format("(3)TSEG1 value indivisible...\n");
            return false;
        }

        tseg1--;
        if(tq == (1 + tseg1 + tseg2)) break;
        else if(tseg1 < 4) {
            format("(4)TSEG1 value indivisible...\n");
            return false;
        }

        tseg2--;
        if(tq == (1 + tseg1 + tseg2)) break;
        else if(tseg2 < 2) {
            format("(5)TSEG2 value indivisible...\n");
            return false;
        }
    }

RX64M PCLKB=60MHz の場合、1Mbps に設定すると、以下のような値となる。

CAN0: SPEED: 1000000 [bps], BRP: 3, TSEG1: 12, TSEG2: 7

※「SJW」はこの変数に関する説明が無かったので、とりあえず「1」にしているが、出来るだけ大きい方が良いのかもしれない・・

メールボックスをどのように割り振るか?

RX マイコンの CAN は、メールボックスを中心とした構成になっている。
メールボックスは32個あり、どのように割り振るのか、ケースバイケースとなると思うが、「受信」動作はかなり厄介だ・・

  • 特定の ID だけ受信する(オペレーションモードにする前に決めなければならない)
  • 全ての ID を受信して、ソフトで振り分ける。
  • 上記二つの混合

「特定 ID」の受信では、初期化時に ID が決まっていなければならないが、ハードウェアーが自動で行うので、ソフトの負荷が小さくなる。
※その ID の数分、メールボックスを消費する。
「ソフト処理」では、どんな構成でも可能だが、その分、CPU 負荷が大きくなる。
CAN の場合、1つのパケットは 100 マイクロ秒くらいなので、120MHz の RX64M でも、流れるパケットによっては、処理がオーバーフローするかもしれない。

対話式インターフェース

CAN レジスタの説明を読んだ理解と、実際の動作が異なる場合があると思うので(CAN の理解不足などから)対話式インターフェースを実装した。

最初のステップとして、メールボックス「ありき」で対話式インターフェースを用意した。
※最終的には、メールボックスをアプリケーションユーザーに意識させるのは良くないと思うので実験用だけ。

Start CAN sample for 'RX64M' 120[MHz]
CAN0: SPEED: 1000000 [bps], BRP: 3, TSEG1: 12, TSEG2: 7
CAN1: SPEED: 1000000 [bps], BRP: 3, TSEG1: 12, TSEG2: 7
# help
    ch CH-no               set current CAN channel (CH-no: 0, 1)
    id number              set current ID number
    ext                    set ext-id mode
    std                    set std-id mode
    data MB-no [byte ...]  set frame data (MB-no: 0 to 31)
    list MB-no             list frame (MB-no: 0 to 31)
    reset MB-no            reset MB (MB-no: 0 to 31)
    send MB-no             send frame (MB-no: 0 to 31)
    recv MB-no             recv frame (MB-no: 0 to 31)
    stat MB-no             stat frame (MB-no: 0 to 31)
    state                  report CAN state
    help                   command list (this)

簡単な通信を行い、送信、受信動作を確認。

# ch 1
# id 0x754
# data 0 0
# recv 0
# stat 0
MCTL: 0x40 (0b01000000)
# ch 0
# data 1 0x75 0x46 0xac 0xf8 0x40
# send 1
# ch 1
# stat 0
MCTL: 0x41 (0b01000001)
# list 0
ID: std 0x754 (1876)
DATA(5): 75 46 AC F8 40
TS: 31995
#

メールボックスの扱い方がある程度分かったと思う・・・

今回はここまで、次は、マネージメントを内部で自動で行い、扱いやすくする方法や構造を考える。
また、割り込みも使う必要があるので、その辺りを中心に実装する。

WR250X のクラッチ修理?(その1)

クラッチが微妙にすべる・・

最近、でも無いけど、アクセルを大きく開けてパワーをリアにかけた時にガクガクする症状が出始めた。

始めは、エアーフィルターかプラグの不良なのかと思ったけど、どうやら、微妙に半クラになって滑っているようだった。

急加速をさないようにアクセルをゆっくり開けると、まぁ乗れるので、しばらくそのままにしていた。

引っ越しの際、サービスマニュアルと部品カタログがどこかに梱包され、少し探したが見つからないので、対応を難儀していた。

クラッチを交換

このままでは、加速ができず楽しくないので、とりあえず、クラッチの消耗だろうと思って交換する事にした。

クラッチプレートは全部で7枚、結構高い!

カバーを開ける際、ブレーキペダルが邪魔なので、リアのマスターシリンダーを外して、タイダウンで引っ張って、避けるようにした。

クラッチプレートの厚みを計測したが、まだ交換限界には達していない、しかし、折角新品を買ったので、交換した。

しかし、症状は直らず・・・

クラッチの遊び調整ネジ

WR250 には、クラッチの遊びを調整する機構が、クラッチ側にある事が判り、色々調整したが、症状は直らず・・・


クラッチの交換パーツは、セットになっているものがある。
こちらは、クラッチプレート、金属プレート、バネの全セットだが、当然のようにバカ高い・・・(2.5万くらい)
他は、消耗はあまり考えられないので、クラッチプレートだけ買ったが・・・

クラッチプレートでは無いとすると、クラッチスプリングくらいしか思いつかない・・

クラッチスプリングを交換

一応、クラッチスプリングの自由長を計測してみた、「40.6mm」交換限界は、「39.6mm」だが、他に考えられる部分も無いので、新品を購入。
新品の自由長は「41.0mm」たった0.4mmしか改善しないのかと思ったが、交換してみた。


クラッチワイヤーに注油

ついでに、クラッチワイヤーに注油した。
ワイヤーインジェクターを使って注油するのだが、これが、結構駄目だ・・・
隙間から漏れて、入っていかない・・・

そこで、昔からの方法、注油するのは、今回は「ベルハンマー」、この液体は粘性が少ないので、パーツの袋を利用して、漏斗を作り、隙間に先を入れておく。
そこに、ベルハンマーを注ぐと、重力で中に入っていく。


ワイヤーの動きは渋くはなかったが、スルスルになった。

前より良くなったが改善しない・・・

交換して、試乗したが、やはり滑る・・・

どうしたものか・・・

WR250 には、アフターパーツとして「強化クラッチスプリング」とゆーのがある、しかし、純正の2倍以上のお値段・・・

うーーんどうしたものか・・・

ネットを調べると、YZ125(モトクロスレーサー) とか WR250R 用のスプリングが、WR250X より「強化タイプ」である事が判り、今度はそれを注文した。
部品の到着待ち・・・

今回はここまで・・・

後、クラッチを抑えているアルミ部品も注文しておこうか・・・


その2

DELL U2718Q の修理(その2)

電源が豪華

このモニターの電源はかなり豪華な創りでコストをかけているように思う。


モニターの要は、液晶よりも電源なんだと実感する。

こんなに豪華な創りの電源は久々に見たー
※AppleのACアダプターを分解した時にも、使っている部品や構成など、凄く感心したが、それと同等くらいの感動がある。

AppleのACアダプターの場合は、コンパクト化で、ありとあらゆる空間を有効に活用する為、3次元的に部品を配置して、全く隙間が無かった。
この電源はスペースには余裕があるので、一見、部品の配置はスカスカだが、裏面には、かなり表面実装の部品を配置してある。

使っている部品もグレードが基本的に高いように思う。

消費電流はそんなに多く無いけど、ちゃんとPFC対策電源になっている。

制御ICの型番は、削ってあり、消されている。

最終段は 18V で、そんなに電流は流れないけど、FETによる同期整流回路を採用しているようだ。

この電源なら、簡単に故障しないだろうと思われる。
※どこぞの中華電源とは、全く別次元のグレードw


コンデンサが到着

コンデンサが到着したので、部品をハンダ付けするものの、パターンが広く、熱が拡散して、思ったようにハンダ付け出来ない。
※秋月の送料は、1万円くらいじゃないと無料にならないが、500円くらいなので、他に欲しかった部品を少し加えて、通販した。
それでも、秋葉原に行って帰ってくるだけで、2500円くらいかかり、往復6時間は電車に乗る事を考えると、2、3日かかってもかなりマシだ・・・

鉛フリーのハンダも、このような場合にはハンデとなると思うが、それにしてもかなりヘタクソ・・・
でも、一応、ちゃんと付いている事を確認した。

うっかり外した電源コネクタ近くの電解コンデンサは、頑張っても、ハンダを吸引出来なかったので、ストックしてあった物を無理やり付けた。
※220uF、25V

一部のコネクタを壊していた

最初に分解する時、この部分のフレキコネクタを壊してしまった、よく見えなかったのが原因だが、かなり気を付けていたつもりなので、自分的にかなり精神的ショックが大きい。

コネクタを交換する事も考えたが、これは、液晶パネルの温度を計っているらしいので、まぁ、無くても問題無いと判断した。
一応、ケーブルを挿して、隙間に厚い紙(名刺)を挟んで、何とかなったと思う。

このフレキコネクタと同じ物を探すのも大変そうで、通販に日数がかかると思うし、交換の手間もスキルもかなり高い。

あすか修繕堂

と呼ばれるネットショップ(YouTubeに修理の動画が沢山ある)に、

あすかリムーバー

「低温ハンダ」が紹介されている、これを使えば、取り外しは可能と思うが、3cmで600円と高価だ・・

組み立て

いつも後悔するが、分解する前に写真を撮っておくべきなのだが、今回も忘れている。

分解の様子は、その時は覚えているが、数日たつと、どうなっていたか忘れている・・・
組み立ては、パズルのようだが、そこまで難解ではなかったので、何とか元に戻せた。


一応直ったようだー

電源を入れてみるー

電源ランプが点いて、画面にロゴが表示された、どうやら直ったようだー


一応、MacBook Pro 13 に接続してみた、問題無い。

直る事が判っていれば、モニターを注文しなかったのだが・・・

折角直ったのだから、メインモニターに戻すべきなのだが、買ったばかりのモニターなので、迷うところ、一番の問題は、間違って解像度が低いモニターを買ってしまった事だ、同じ解像度なら、新品モニターを迷わず使うのだが・・・

でもまぁ、やはり解像度が高い以前のモニターを使うべきなのだろうなぁー・・・

DELL U2718Q の修理(その1)

何の前触れもなく・・

土日は、もて耐で、家を空けていた、仕事部屋は、日中、かなりの高温になるので、この時期エアコンが欠かせない。

日曜の夜遅く、戻って、速攻でエアコンの電源を入れて、ビールを飲みながら扇風機を浴びていた。
夜遅かったので、それなりに温度は下がっていたものの、30度くらいはあったと思う。

PCの電源を入れて、ログインして、ブラウザを立ち上げメールをチェックする。

そして、荷物の整理をして、もう一度画面を観ると、真っ暗だった。
あれ、おかしいなぁーと思い、マウスを動かしたり、キーボードを触ったりしたが何も変化が無いー

PCを強制シャットダウンして、もう一度起動するが、やはりブラックアウトで変化無し・・・

モニターの電源ボタンを押すが、何も変化無し・・・

モニターの電源ケーブルを抜いて、挿し直すなど一連の手順をするも、変化無し・・・

このタイミングで壊れるのか!?

とりあえず、以前にPS4のモニターとして使っていた17インチの小型モニターに繋いでみた、画面は小さいがちゃんとPCは起動して画面が出る。

保障を確認、そして分解

自分は、オプションの長期保証プラン的な物には入らない主義なので、このモニターの保証期間は去年の8月に終了している。
※購入してから2年くらいしかたっていない・・・

YouTube の修理動画などを多く観ていたので、このモニターも、電源系のどこかが壊れているものと予想した。

そこで、とりあえず、分解してみたー。

まず、見えるネジを外す、シールで隠されているネジは無かった。

意外と重宝した、タイヤレバー(バイクのタイヤをホイールから外す工具)

パネルの分解が一番難解なのかもと思う、どのような構造なのか、想像するしかない。
しかし意外と簡単に、隙間を開くと、裏蓋が少しづつ開いていく、硬い部分は、タイヤレバーなどを使って、少しづつ開いていく、コーナーは、剛性が高く、頑丈だったが、爪が折れる事なく、綺麗に裏蓋を外す事が出来た。

フレキケーブルなどを外し、電磁波対策の金属ケースを外して、メインボードを出してみる。

このモニターは大まかに3つのボードに分かれている。

・電源ボード
・メインボード
・液晶ライト制御ボード(と思われる)

解析

とりあえず、ACコードを繋いで、電圧をチェックしてみる。

メインボードの主要な電圧を計るとやはり「0V」。

今度は、メインボードと電源を繋ぐコネクターを外して電圧を計る。

ACラインは、正常でPFC対策がしてあり、直近のコンデンサには380Vの電圧が出ている。
最終出力は、18Vくらいのようだ、電源だけだと正常のようだ。
それにしても豪華な創りの電源だー

メインボードの電源ラインの「抵抗」を計ってみる、「4オーム」くらい、やはり、電源ラインのどこかがショートしているようだ。

一番最初に疑ったのは、電解コンデンサ、ルーペを使いよーく観察してみるが、膨らんでいたり、液漏れしていたりする様子は無い。

とりあえず、今日は眠いので、明日にでも、再調査する事にした。

新たにモニターを注文

修理には、それなりに時間がかかりそうなので、とりあえず、直近の仕事もあるので、替えのモニターを注文した。

今度も同じように27インチモニター、U2718Q は既に廃盤のようで、U2719D を注文した。
ここで、大失敗、急いでいたので、良く確認せず、4Kモニターでは無く、解像度が低い物を注文してしまった、これは、後に気がついた・・・

まぁそれでも、17インチのモニターよりは随分マシなので、到着を待つ事にする。

4kだと、高精細過ぎて、小さい文字が見えにくい場合もあるとか、自分に言い聞かせた・・・


U2718Q のメインボードは、eBay などに出品されていて、4000円程度で購入可能な事が判った。
※送料を合わせると6000円程度となる。

注文したモニターは水曜には到着した。
今度のモニターは、解像度は以前の物より低いものの、IPS液晶で、コントラストが高いように感じる。
文字がシャープな感じ。

解析を続ける

解像度が低いモニターを注文した事もあって、かなり落胆、動揺していた。

それで、何とか「復帰」させようと必死になっていた、液晶と接続しているケーブルを外して、基板だけを詳細に観察していた。

電源ラインには、220uF、25Vの電解コンデンサがあり、最初それを疑い、外してみたが、問題無いようだった。

次に回路構成を眺めていた、18Vから、スイッチングレギュレータで、必要な電圧を生成しているようで、それが4系統ある。
1系統(多分、USBハブの5V生成)は、二段目にあり関係無さそうだ。

3系統では、入力側に積層セラミックコンデンサが2個並列に並んでいる。
これらコンデンサの両端の抵抗を計ると4オームで、電源ラインと接続している事が判る、これは、入力段のバイパスコンデンサであると思われる。

ルーペでこれらを中心に観察したが、問題無さそうだった。

とゆー事は、この3系統の、スイッチングレギュレータICのどれかが死んだのか?

しかし、どう見ても、パッケージは正常で、破壊している兆候は無い。
※問題なのは、QFP の場合、型番の判断が出来ない点だ、壊れていても交換する部品の番号が判らない、調べるにしても、非常に沢山の中から探すのは骨が折れる・・・
※TI 製のようだが、確信は持てない、2 系統は同じ 14 ピンの QFP だが、1 系統は、8 ピンのチップ部品のようだ、4.7uH のインダクタがある。


一般的に、意外と IC は頑丈で、設計に問題が無く、熱的に安全なら死ぬ事は少ないと思われる。
それに、過電流保護などがしっかりしているので、破壊する事は少ないものと思われる。

それより、コンデンサなどの、部品の劣化が多く、大抵の故障は、それが原因だと、修理動画で、学習していた。

原因見つかる

電源の抵抗は 4 オームなので、電源は過電流で、保護回路が働き、0V となる。

それなら、外部に実験用電源を接続して、徐々に電圧を上げて、ある程度電流を流せば、壊れている部品が発熱するのでは無いかと考えた。


その前にもう一度、基板を観察、今度はスイッチングレギュレーター部の周辺だけを集中して観察していた。

すると、斜めからルーペで観察していたら、積層セラミックのバイパスコンデンサの横が僅かに割れて、クラックが入っているように見えた。
※隣に同じコンデンサがあり、隙間が狭く、見えずらい。

早速、ハンダステーションの電源を入れ、温度を最大にして、ハンダを大量に溶かして、コンデンサを外してみた。
※電源ラインはパターンが広く、熱が逃げるので、容量の大きいハンダコテじゃないとハンダが溶けない。

外して、電源の抵抗を計ると、ショートが解消している事が判った。
やはり、このコンデンサの劣化が原因のようだ、コンデンサ単体で抵抗を計るとやはり4オーム。

部品を調査

問題は、このコンデンサの容量だ、幸い、2個並列にあるので、正常の方も外して、容量を計ってみる。

どうやら、10uF のようだ、ただ、ここの電圧は 18V なので、25V 程度の耐圧は必要と思われる。

部品が手元に無いので、秋月に部品を注文した。
※昨日、打ち合わせで秋葉原まで出かけたのに、タイミングが悪すぎる・・・


今回はここまで。

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