「電子工作な日々」カテゴリーアーカイブ

電子工作に関連するお話など・・

RX631/RX63N 割り込みレベル設定の不具合など・・

CAN の実験で気がついた

GR-CITRUS はピンの制限が非道なのだが、CAN0 で利用するピン CRX0(P33), CTX0(P32) はとりあえず使える。
そこで、CAN_sample を動かしてみようと思い、プロジェクトに RX631 を追加してコンパイル。
とりあえず、ターミナル表示を確認した。

Start CAN sample for 'RX631 GR-CITRUS' 96[MHz]
CAN command version: 0.89
CAN0: SPEED: 1000000 [bps], BRP: 2, TSEG1: 15, TSEG2: 8, SJW: 4
    RX Interrupt level: 1, TX Interrupt level: 0
#

何故か、TX の割り込みレベルが0と表示されている・・
can_io クラスは、ポーリングでの動作は出来ない、必ず、1以上の割り込みレベルが必須となっていて、何も指定しないと、レベル1割り込みを設定する。
おかしいな・・、色々調べて、icu.hpp の CAN 関係の割り込みベクターに間違いがあった・・・
それを直して、もう一度。

Start CAN sample for 'RX631 GR-CITRUS' 96[MHz]
CAN command version: 0.89
CAN0: SPEED: 1000000 [bps], BRP: 2, TSEG1: 15, TSEG2: 8, SJW: 4
    RX Interrupt level: 0, TX Interrupt level: 0
#

今度は、両方「0」に・・・
調べると、RX631/RX63N の割り込みレベル設定(IPR レジスタ)は、かなりの部分が共有されており、この部分のケアが抜けていた。
RX621、RX62N や、RX63T、RX24T などでも同じだが、そちらはケアされていた。
RX621/RX62N に比べると、規則性があるが、全般に渡ってかなりの分量だったが、何とか修正した。

        //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
        /*!
            @brief  IPR レジスタ・クラス @n
                    全て、下位4ビットが有効
            @param[in]  base    ベースアドレス
        */
        //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
        template <uint32_t base>
        struct ipr_t {

            //-------------------------------------------------------------//
            /*!
                @brief  []オペレータ
                @param[in]  vec     標準割り込みベクター型
                @return IPR レジスターの参照
            */
            //-------------------------------------------------------------//
            volatile uint8_t& operator [] (VECTOR vec) {
                uint32_t idx = 0;
                switch(vec) {
                case VECTOR::BUSERR: idx = 0; break;
                case VECTOR::FIFERR: idx = 1; break;
                case VECTOR::FRDYI:  idx = 2; break;
                case VECTOR::SWINT:  idx = 3; break;
                case VECTOR::CMI0:   idx = 4; break;
                case VECTOR::CMI1:   idx = 5; break;
                case VECTOR::CMI2:   idx = 6; break;
                case VECTOR::CMI3:   idx = 7; break;
                case VECTOR::SPRI0:
                case VECTOR::SPTI0:
                case VECTOR::SPII0:
                    idx = static_cast<uint32_t>(VECTOR::SPRI0);
                    break;
                case VECTOR::SPRI1:
                case VECTOR::SPTI1:
                case VECTOR::SPII1:
                    idx = static_cast<uint32_t>(VECTOR::SPRI1);
                    break;
                case VECTOR::SPRI2:
                case VECTOR::SPTI2:
                case VECTOR::SPII2:
                    idx = static_cast<uint32_t>(VECTOR::SPRI2);
                    break;
                case VECTOR::RXF0:
                case VECTOR::TXF0:
                case VECTOR::RXM0:
                case VECTOR::TXM0:
                    idx = static_cast<uint32_t>(VECTOR::RXF0);
                    break;
                case VECTOR::RXF1:
                case VECTOR::TXF1:
                case VECTOR::RXM1:
                case VECTOR::TXM1:
                    idx = static_cast<uint32_t>(VECTOR::RXF1);
                    break;

...

                default: idx = static_cast<uint32_t>(vec); break;
                }
                return *reinterpret_cast<volatile uint8_t*>(base + idx);
            }
        };
        typedef ipr_t<0x0008'7300> IPR_;
        static IPR_ IPR;

※最近の RX マイコンは、ほぼ、割り込み要因毎に割り込みレベルが設定出来る仕様になっているのでスルーしていた。
※古い、RxV1 コアなどのマイコンは注意しなければならない・・


未定義ビットの扱い

システムクロックコントロールレジスタ(SCKCR)の予約ビットの扱いを見直した。

このレジスタ、B0~B7 には書き込む場合に特定のビットを立てなくてはならない。
素のままだと、特定のビットだけを変更する場合に問題が発生する。

    device::system::SCKCR.ICK = 10;

このような実装では、最終的に SCKCR レジスタ、B0~B7 には、読み出した値(全て0)が上書きされる。

そこで、以下のように、書き込み時に、特定のビットフィールドを追加するように改修した。

        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  システムクロックコントロールレジスタ(SCKCR)
            @param[in]  base    ベースアドレス
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        template <uint32_t base>
        struct sckcr_t : public rw32_t<base, 0b0001'0001> {
            typedef rw32_t<base, 0b0001'0001> io_;
            using io_::operator =;
            using io_::operator ();
            using io_::operator |=;
            using io_::operator &=;

            bits_rw_t<io_, bitpos::B8,  4> PCKB;
            bits_rw_t<io_, bitpos::B12, 4> PCKA;
            bits_rw_t<io_, bitpos::B16, 4> BCK;

            bit_rw_t <io_, bitpos::B22>    PSTOP0;
            bit_rw_t <io_, bitpos::B23>    PSTOP1;
            bits_rw_t<io_, bitpos::B24, 4> ICK;
            bits_rw_t<io_, bitpos::B28, 4> FCK;
        };
        typedef sckcr_t<0x0008'0020> SCKCR_;
        static SCKCR_ SCKCR;

rw32_t クラスは、以下のように変更。

    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  Read/Write 32 bits アクセス・テンプレート
        @param[in]  adr アドレス
        @param[in]  wov 書き込み OR 値(通常0)
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    template <address_type adr, uint32_t wov = 0>
    struct rw32_t {

        typedef uint32_t value_type;

        static constexpr auto address = adr;    ///< アドレス定義
        static constexpr auto write_or_value = wov; ///< 書き込み OR 値
        static constexpr uint8_t BUS = 32;      ///< バス幅
        static constexpr bool RD = true;        ///< 読出し
        static constexpr bool WR = true;        ///< 書き込み

        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  書き込み
            @param[in]  data    書き込み値
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        static void write(value_type data) noexcept { wr32_(adr, data | wov); }

...

    };

テンプレートパラメーター、wov は、何も指定しない場合、「0」なので、影響を与えない。
書き込み時に「0」を OR するのが余計だと思うかもしれないが、最適化されると、その操作は削除されてて無くなるので通常動作で余分なマシンサイクルを消費しない。
最適化しない場合、余分なコードが大量に生成されてしまうので、専用関数とするべきかもしれない・・


まとめ

実装時、かなり注意しているが、間違いを避ける事は難しい、集中している時は、それも少ないとは言え、何かの別作業が間に入ったりすると、凡ミスも多くなる。
少し前から、ペリフェラルの定義を検証する為の仕組みを入れ始めている。
重要な部分はユニットテストなどを行うしかないが、テストコードを生成する、良い方法を考えないと現実的では無いとも思う。
これは、すこし考えたい・・
ハードウェアーマニュアルから必要な部分を抽出して、テストコードを自動生成するような事が必要かもしれない・・

RXマイコン、RX631/RX63N をサポート開始

最終的にはRXマイコン全サポートしたい!

かなり昔、RX63N が出た時期、176ピン版を購入した。(今は販売していない)

その時、変換基板も同時に購入して、実験基板を作ろうとしていたが、ピンの配置間隔がハーフピッチずれたバグ基板を掴まされ、作る気力が萎えてしまった・・
※ハーフピッチずれている為、ユニバーサル基板に乗せる事が出来ない。

そうこうしているうちに RX64M が出て、それを購入、品質の高い変換基板も購入、実験基板を制作して動かすまでになった。
そんなこんなで、RX631/RX63N はサポートをしていなかった。

デバイスは持っているので、実験しないと肥やしになるだけだし、ペリフェラル定義も、共通部分が多い事から RX220 サポートの勢いで進めていた。
必要最低限のピンを接続して、とりあえず動作する状態にしたい。

RXマイコンも、未だ購入が出来ない状態が続いているので、シリーズを増やすにしても、何とも歯がゆい状態が続いている。


GR-CITRUS を買う

基板を作る準備をしていたが、面倒になり、停滞していた。

そんな時、秋月のRXマイコン関係で、GR-CITRUS が1500円(通常2200円)の処分価格で売られている事を発見し、他の部品と共に注文した。
※使っていないピンを出していないとか、かなり不満の残るボードだが、1500円ならまーいいかと思って購入。

GR-CITRUS は、標準では USB 接続でフラッシュを書き換えるようになっている。
※MD端子は出ているが、2.54mm ピッチでは無い、狭いフットプリントになっているのが駄目・・(何で?)

RX631/RX63N は、フラッシュプログラム「rxprog」もサポートしたいので、外部にSCI1、MD 端子などを出してシリアルブート出来るように改造した。

RX631/RX63N は RX63T に近いプログラミングフォーマットとなっており、簡単に実装出来た。
マイクロマウスでRX631を使っている人が、rxprog を改造して使っているようだが、最新バージョンではコンパイルするだけで利用出来ると思う。

プログラムの書き込みは何の問題もなく出来た。

GR-CITRUS でシリアル書き込みを行う場合、P30(RXD1)、P26(TXD1) を配線する必要がある。
又、PC7 を抵抗でプルダウンする必要がある。
P26 は J5 によって、P05/DA1 ピンと共有するのだが、そうすると P05 を使えなくなる。
なので、J5 の P26 側にだけ配線を行い、外部に出す。
折角 100 ピンの RX631 を実装しているのに、多くのピンが未接続だし、ピンを共有していたり(何かの互換の為?)、ハッキリ言って糞ボードだと思う。
以上の点を許容できる人のみ購入を検討してみるのが賢明と思う。


クロックのブーストでハマる

RX631/RX63N は RX63T に近いクロック機能なので、RX63T のコードをコピーして少し手直しした。

とりあえず、LED 点滅「FIRST_sample」を書き込んだが、点滅しない・・・

調べると、クロック速度が遅い状態で、先に進まないようだ。
RX63T では動いていたから、何か違いがあるのか、色々調べたり、クロック関係のレジスタに直で値を入れたり、色々やったが全く駄目・・・
高速内部発振器「HOCO」では、ちゃんと動作しているようで、何で???と、数時間悩んだ・・・

そして、ようやく謎が解けたー

システムクロックコントロールレジスタ(SCKCR)の予約ビットに「0b0001」を書き込む必要があり、それが「0b0000」だと、ICLK が正しい周波数にならない・・

読み出すと「0b0000」なので、何も対策しないとハマる・・・

            device::SYSTEM::SCKCR = device::SYSTEM::SCKCR.FCK.b(clock_div_(clock_profile::FCLK))
                                  | device::SYSTEM::SCKCR.ICK.b(clock_div_(clock_profile::ICLK))
                                  | device::SYSTEM::SCKCR.BCK.b(clock_div_(clock_profile::BCLK))
                                  | device::SYSTEM::SCKCR.PCKA.b(clock_div_(clock_profile::PCLKA))
                                  | device::SYSTEM::SCKCR.PCKB.b(clock_div_(clock_profile::PCLKB))
                                  | 0b0001'0001;

この修正を加えたら、システムクロックがブーストするようになった。

RX631 のソフトディレイを調整した。


現在のフレームワーク状態

現在、ペリフェラルの実装、動作確認、は以下のようになっている。

シリーズ コア FPU DFPU 動作確認 ペリフェラルクラス rx_prog サポート リンカーファイル
RX220 RXv1 No - R5F52206
RX631/RX63N RXv1 Yes - R5F5631F/NE
RX63T RXv1 Yes - R5F563T6
RX621/RX62N RXv1 Yes - R5F562N7/8
RX24T RXv2 Yes - R5F524T8/A
RX64M RXv2 Yes - R5F564MF/G/J/L
RX71M RXv2 Yes - R5F571MF/G/J/L
RX651/RX65N RXv2 Yes - R5F565NE
RX66T RXv3 Yes - R5F566TA/E/F/K
RX72T RXv3 Yes - R5F572TF/K
RX72N RXv3 Yes Yes R5F572ND/N
RX72M RXv3 Yes Yes R5F572MD/N

RX631/RX63N は、RX63T にフラッシュプログラムは近いので、rx_prog もサポートした。


まとめ

とりあえず、FIRST_sample、SCI_sample、RAYTRACER_sample などで動作確認を行った。

SCI_sample:

Start SCI (UART) sample for 'RX631 GR-CITRUS' 96[MHz]
SCI PCLK: 48000000 [Hz]
SCI Baud rate (set): 115200 [BPS]
  Baud rate (real): 115384 (0.16 [%])
  SEMR_BRME: false
  SEMR_BGDM: false
CMT Timer (set):  100 [Hz]
  Timer (real): 100 [Hz] (0.00 [%])
#

RAYTRACER_sample:

RX631 GR-CITRUS Start for Ray Trace: 320, 240
# Render time: 1886ms (1)

CALC_sample:(関数電卓サンプル)

# Rad
# tan(355/226)
 -7497258.185325587112905071831891248663417267943785263161571

CAN_sample:

  • コンパイルのみ、動作確認はしていない。

I2C_sample:

  • コンパイルのみ、動作確認はしていない。

PSG_sample:

  • DA1 出力をアンプに接続して、動作確認。

「rxprog」は、RX631/RX63N を追加して、プログレス表示で、%の表示を追加した。

GR-CITRUS は、メモリもそれなりに多く、今後、他プロジェクトでも、RX631 を追加して、動作確認をおこなっていく。
惜しいのは、使っていないピンをランドに出していない点、そして、一部のポート同士を接続してある点、これが無ければ、色々応用が出来るのだが・・

現状のコードは、Github にコミットしてあり、マスターブランチにマージ済。

RXマイコンC++フレームワーク、RX220をサポート開始

RX220 マイコンをサポートする

半導体不足は未だ解消の気配は無く、RXマイコンを買うにしても、以前のような価格では流通していないし、バックオーダーで、買う事も出来ない。

RX220は、機能と価格で、CPはそんなに良くないが、秋月さんで売っているので、入手はしやすいだろうと思う。

  • DIPスイッチを逆に取り付けてしまったバージョンの基板なら比較的安価に購入できる。(1250円)
  • 以前RX72T(200MHz、RXv3コア)が10個で@600円くらいだった事を考えると、最大32MHzでRXv1コアはあまり触手が伸びない。
  • RX220はFPUも内蔵していない・・
  • 既に購入済で、積みボードになっている人もいるかもしれない。

とりあえず、RXマイコン全制覇を目論んでいるし、200番台をサポートするのは、それなりに価値がある。


秋月RX220ボードの改造

秋月さんのRX220ボードは、そのままでは多少使いづらい・・
このボードでは、内蔵フラッシュを書き換えるには、シリアル書き込みがほぼ標準的となる。
その場合、SCI1を使う事になるが、そのままだと、RSー232Cのレベル変換ICに接続されている。
今や、PCとの通信でRSー232Cを使う事は「稀」で、FT232やCP2102NなどのUSB/シリアル変換モジュールを使って、ロジックレベルで行うのが標準的となっている。
そうすると、RXマイコンのTxDは出力なので問題無いとしても、Rxdは入力となっていて、レベル変換ICの出力が接続されているので、モジュールのロジック端子を繋ぐ事ができない。
そこで、ボードのパターンをカットして、接続できるように改造した。
※何かの記事で読んだが、この「カットをする意味が判らない」と綴っている人がいた・・、これは、本当にビックリした、その程度の知識でマイコンをやってる人がいる現実に驚くばかり。
まぁ、でもマイコン掲示板で、自分で何も調べないで、いきなり質問する人や、初歩的と思えるような質問をする人、様々な人がいる現実を考えると、まぁそんなものかもしれない。


ソフトディレイの調整

RX220は最大32MHz(内蔵発振器動作)で動作する。

  • クロックジェネレーターにはPLL回路が無い為、外部にクリスタルを接続して利用する場合は、最大20MHzとなる。
  • クリスタルの発信器は、20MHzを超えると、ちょっと特殊な回路にしないと発振が安定しない(発振しない)ので、そうなっていると思う。
  • ただ、外部クロック入力でも最大20MHzなので、その他の物理的な要因が関係しているのかもしれない。
  • 内部発信器だと、正確性やジッタの問題があるとも思うが、意外と安定していると思う。
  • 内部発信器は最大50MHzで発振する事も出来るので、50MHzオーバークロックで動かしてみたが、普通に動作はするようだ。

最初、1マイクロ秒のソフト遅延を行う為、NOP命令のループ回数を調整していたが、思うように調整出来ない・・・
ある値を境に、遅くなったり、速くなったり、不思議な現象が発生した。

                for(uint32_t n = 0; n < device::clock_profile::DELAY_MS; ++n) {
                    asm("nop");
                }

・・・

少し考えたら、理由は判った、今まで、最低速度は、RX24Tの80MHzだったので、ループ回数はそれなりの値で問題無かった。
しかし、32MHzだと、ループ回数は少なく、ある値を境に、「asm("nop");」が、インライン展開されてしまう。

そこで、RX220の場合は、専用のAPIにした。

        static void delay_us() noexcept
        {
            // 定数(DELAY_MS)で指定すると、ループ数が少なくインライン展開され、予想した時間にならない為、直で’NOP’数で調整する。
            if(ICLK == 32'000'000) {  // 32MHz 用
                asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop");
                asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop");
                asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop");
                asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop");
            } else if(ICLK == 20'000'000) { // 20MHz 用
                asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop");
                asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop"); asm("nop");
                asm("nop"); asm("nop"); asm("nop");
            } else {
                for(volatile uint8_t i = 0; i < (ICLK / 1'000'000) - 10; ++i) {
                    asm("nop");
                }
            }
        }

rx_prog でも、RX220をサポート

最初、とりあえずルネサスフラッシュプログラマーで書き込みを行ったが、非常に不安定で、書き込みに失敗、そもそも接続も出来ないなどのトラブルが多発した。
この原因は追究していないが、USBシリアルデバイスがCP2102Nなのが問題なのかと思った。

  • CP2102Nは、FTDIより高速で、同じボーレートでも、転送にかかる遅延が非常に少ない為と思った。
  • RX200系は、RXマイコン初期の物なので、あまり枯れていないのかもと思った。
  • ルネサスフラッシュプログラマーの無料版は、ノークレームなので、改修を要求する事さえ出来ない。

そこで、まず、rx_prog にRX220のプロトコルを追加する事にした。
ブートモードの説明を斜め読みした感じでは、RX63Tとほぼ同じ感じで、そのまま行けると感じた。

「rx_prog.conf」に、RX220 デバイスのプロファイルを追加して、「rx220_protocol.hpp」を追加、説明と照らし合わせた。

R5F52206 {
    group = "RX220"
    clock = 3200
    divide_sys = 1
    divide_ext = 1
    rom = 256K
    ram = 16K
    data = 8K
    comment = "; RX220 Flash:256K DataFlash:8K RAM:16K"
    rom-area  = FFFC0000,FFFFFFFF
    data-area = 00100000,00101FFF
    ram-area  = 00000000,00003FFF
}

「rx63t_protocol.hpp」ほぼ同じでOKだったが、ファイルは別けておいた。

まず、コネクションを試してみた。

 % rx_prog -d RX220 --verbose
# Platform: 'Cygwin(MSYS2)'
# Configuration file path: '/usr/local/bin/rx_prog.conf'
# Group: 'RX220'
# Serial port path: 'COM7'
# Serial port speed: 230400
# Erase Page Wait: 2000 [uS]
# Write Page Wait: 5000 [uS]
# Serial port alias: COM7 ---> /dev/ttyS6
# Serial port path: '/dev/ttyS6'
# Device: R5F52206 (first find)
#   Master clock: 32.00 MHz
#   ICLK multiplier: 1 (32.00 MHz)
#   PCLK multiplier: 1 (32.00 MHz)
Connection OK. (RX62x)
#01/01: Device: RX200 Series (LittleEndian)
#01/01: Device ID: 0x33306A37
#01/01: Clock Mode: 0x00
#01/02: Multiplier: 1
#02/02: Multiplier: 1
#01/02: Frequency Min: 32 MHz, Max: 32 MHz
#02/02: Frequency Min: 32 MHz, Max: 32 MHz
#01/01: Change baud rate: 115200
#01/01: Boot Area: FF7FC000, FF7FFFFF
#01/01: Area: FFFC0000, FFFFFFFF
#01/26: Area: FFFFF000, FFFFFFFF
#02/26: Area: FFFFE000, FFFFEFFF
#03/26: Area: FFFFD000, FFFFDFFF
#04/26: Area: FFFFC000, FFFFCFFF
#05/26: Area: FFFFB000, FFFFBFFF
#06/26: Area: FFFFA000, FFFFAFFF
#07/26: Area: FFFF9000, FFFF9FFF
#08/26: Area: FFFF8000, FFFF8FFF
#09/26: Area: FFFF4000, FFFF7FFF
#10/26: Area: FFFF0000, FFFF3FFF
#11/26: Area: FFFEC000, FFFEFFFF
#12/26: Area: FFFE8000, FFFEBFFF
#13/26: Area: FFFE4000, FFFE7FFF
#14/26: Area: FFFE0000, FFFE3FFF
#15/26: Area: FFFDC000, FFFDFFFF
#16/26: Area: FFFD8000, FFFDBFFF
#17/26: Area: FFFD4000, FFFD7FFF
#18/26: Area: FFFD0000, FFFD3FFF
#19/26: Area: FFFCC000, FFFCFFFF
#20/26: Area: FFFC8000, FFFCBFFF
#21/26: Area: FFFC4000, FFFC7FFF
#22/26: Area: FFFC0000, FFFC3FFF
#23/26: Area: 00101800, 00101FFF
#24/26: Area: 00101000, 001017FF
#25/26: Area: 00100800, 00100FFF
#26/26: Area: 00100000, 001007FF
#01/01: Program size: 256 Bytes
#01/01: ID Protect: false

問題無い。

次に、書き込み、ベリファイも試して、問題無かった。
rx_prog は、多少書き込み速度が遅いものの、安定して書き込めるし、OS-X、Linux でも同じように動作する実績がある。
※RX220 は、OS-X、Linux では試していないけど・・

rx_prog -d RX220 --progress  --write --verify sci_sample.mot
Write:  #################################################
Verify: #################################################

これで、RX220を正式サポートした事になると思う。

Makefile は、以下の部分のみ異なるだけで良く、RX220 に移る事は簡単だ。

DEVICE      =   R5F52206

RX_DEF      =   SIG_RX220

まとめ

現状、サンプルプログラムは、「FIRST_sample」、「SCI_sample」のみだが、今後拡充してゆく予定。
※基本、各プロジェクトで、Makefileを用意すればOKだが、まだ、RSPIや、RIIC(I2C)ペリフェラルの追加などをしていない。

RX220 は浮動小数点を扱うとエミュレーションになってしまうが、「utils::format」の表示関係は、内部はほぼ整数を使っているし、速度以外はそれなりに使えると思う。
もう少し安価に入手できれば・・・
それでも、32ビットなので、RL78などの8ビット系に比べて大きなアドバンテージがあるのは言うまでも無い。

Start SCI (UART) sample for 'AE-RX220' 32[MHz]
SCI PCLK: 32000000 [Hz]
SCI Baud rate (set): 115200 [BPS]
  Baud rate (real): 117647 (2.08 [%])
  SEMR_BRME: false
  SEMR_BGDM: false
CMT Timer (set):  100 [Hz]
  Timer (real): 100 [Hz] (0.00 [%])
#

現在、RX631/RX63N もサポート中で、秋月ユーザーでも、C++ フレームワークを使ってみる機会がそれなりに増えると思う。

C++ に対する嫌悪感

主にC言語しか使わない人は、C++ に対する嫌悪感が半端ない事が多い。
また、C++ は判らないし、難しそうだから近寄らない人も多い。

しかしながら、マイコン初心者(プログラムの経験が全く無い人)に教える場合、C++ から始めても、そんなに敬遠したりしない事が判っている。
※もちろん、最初はあまり多くを示さないで、簡単な事、理解しやすい事、シンプルな事から始める。
むしろ、半端にプログラム出来る人より、飲み込みが速く、応用が利く人が多いように思う、これは、教え方次第のように思う。
年齢は関係無い、若い人は頭が柔らかく、吸収する力が大きいように感じる。

C++だと、コンパイラが教えてくれる事が多く、小さなミスは、ほぼ起きなくなるし、柔軟で応用範囲が広いライブラリなど、利便性が高い。

今回 RX220 をサポートしたが、アプリケーションレベルでは変更が全くなく、同じように動作する。

今後、勉強会や、講習会、YouTubeビデオなど、学べる機会や媒体を増やしていく予定でいる。

R8C、RX開発環境のアップデート

R8C の開発環境が作れないとのツイートをもらう・・

先日、Twitter で 過誤出来ないツイートをもらった。

ツイートは短く、詳細は不明なので、実際にどんな事が起きているのか判らなかった。

何度かやりとりをする中で、どうやら、これは Linux 環境で発生している事が判った。

その要因は、最新の gcc 環境(Version 11)などで、gcc-4.9.4 の C++ ビルドで失敗する事が判った。

そういえば、Windows の MSYS2 環境もしばらくアップデートしていない、そこで、まずは、MSYS2 をアップデートする事から始めた。
※Linux 環境は、ノートPC にあり、古いので、新しい環境に入れ直す必要があり、確認するのも時間がかかる。

pacman -Sy pacman
pacman -Syu

この段階で、データベースの更新に失敗して、先に進まない・・

MSYS2 は、かなり更新しているようで、根本的にシステムが大幅に変わったようだ、そこで、インストールからやり直す事にした。

念の為、MSYS2 のコア部分、「C:\msys64」をリネームして、残しておいた。

最新版をインストールして、必要なツールをインストール。
※複数パッケージのインストールが、マルチスレッドで同時進行するようになっているw

MSYS2 はアイコンが少し新しくなり、大きな変更があったようだ。

また、新たな環境が二つ追加された:

  • MSYS
  • mingw32
  • mingw64
  • ucrt64(追加)
  • clang64(追加)

※追加された環境が、どのような特徴があるのか調べていない。(clang64 は何となく判る)

MSYS のカレント gcc は11系になっている。

gcc (GCC) 11.3.0
Copyright (C) 2021 Free Software Foundation, Inc.
This is free software; see the source for copying conditions.  There is NO
warranty; not even for MERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE.

次に、R8C 用 gcc のビルドにとりかかる。
gcc のビルドは、MSYS で行う。(この環境がもっとも Linux などに近い)

手順を進めていって、やはり、gcc C++ の構築でエラーが発生して止まる・・・

うーーん、これは、どうしたものか・・・

そもそも、gcc-4.9.4 は古すぎると以前から思っていた。
しかし、開発環境を変更する事で、発生する別の問題を恐れて「まぁ動いているから枯れた方がいいかな」とも思っていた。

この機会に、手始めに R8C の開発環境をアップデートして、gcc-11 でエラー無くコンパイル出来るようにした方が建設的ではと思った。
この段階で、エラーを報告してくれた人は、ネットの情報を精査して、configure で生成された Makefile に、C++11 のオプションを付ける事で回避したようだ。
※なるほど、その回避もあるよなぁーと思ったが、やはり、gcc のビルドで特別な事を行うのは少し抵抗がある。


RX マイコンの開発環境では、最近は GNU-RX(魔改造されている)を使っている為、素の gcc を使う事が無くなっている。

RX のツールチェインは、以下の組み合わせとなっている。

binutils-2.34
gcc-7.5.0
newlib-2.4.0

組み合わせは重要で、リリースが同じくらいのパッケージを組み合わせないと、ビルドが通っても、コンパイル中にインターナルエラーで止まったり、
出来たコンパイラで作ったバイナリーをマイコンに焼いても動作しないなど、色々なトラブルが起こったりする。

そこで、R8C(m32c-elf)のビルドを上記組み合わせで作ってみた。

ビルド途中で、エラーで、失敗する・・・

うーーーん・・・

この組み合わせは、m32c-elf では相性が悪い・・・

そこで、少し古いバージョンの組み合わせで、色々試してみた。
m32c-elf は多分、メンテナンスされていないので、欲張らずにそこそこ新しい物で我慢する方が安全と考えた。
SSD(1TB) と、大きな主記憶(32GB)で武装された、最新の PC(Rizen7) でも、gcc のビルドは、そこそこの時間を要する。

色々、試して:

  • binutils-2.28.1.tar.gz
  • gcc-6.4.0.tar.gz
  • newlib-2.4.0.tar.gz

この組み合わせで、ビルドが通った。


boost 問題・・・

r8cprog など、一部のコードは、boost を使っている。

本来なら、MSYS 環境に boost を入れるのが良いと思うが、mingw64 などには対応しているが、MSYS 環境には無い。
そこで、mingw64 環境に入れた boost を間借りする形で使っていた。
しかし、新しい MSYS2 ではそのやり方では問題が発生する事が判った。

そこで、boost_1_74_0 のアーカイブを取ってきて、C ドライブのルートに展開し、そのパスを食わせる事で解決した。

この変則的なやり方は、あまりスマートとは言えないが、手順は難しく無いので、まぁ及第点だろうか・・


R8C のプロジェクトを全ビルド

新しく出来たツールチェインを使って、R8C のプロジェクトを全てビルドしてみた。

エラー無くビルドが通った。

とりあえず、「UART_sample」を動かしてみて、ちゃんと動作するバイナリーが出来る事も確認した。


RX 関係も確認

RX 関係も、一応確認した。

RX の gcc ビルドは問題無く通ったので、「良し」としたが、boost のパスは、R8C と同じく変更した。


RL78 環境

RL78 も、R8C と同じ環境にして、gcc をビルドしてみた。
これも、順調に通り、構築出来た。

しかし、プロジェクトをビルドすると、gcc がインターナルエラーで停止する・・・

rl78-elf-g++ -c  -std=c++17 -Wall -Werror -Wno-unused-variable -Wno-exceptions -Wno-unused-function -Os -mmul=g13 -DSIG_G13 -DF_CLK=32000000  -I. -I../ -I../G13  -o release/main.o main.cpp
In file included from main.cpp:15:0:
../common/format.hpp: In member function 'void utils::basic_format<CHAOUT>::out_fixed_point_(VAL, uint8_t, bool) [with VAL = long long unsigned int; CHAOUT = utils::stdout_chaout]':
../common/format.hpp:589:3: internal compiler error: in push_reload, at reload.c:1348
   }
   ^
unrecognized DWARF version in .debug_info at 6
Please submit a full bug report,
with preprocessed source if appropriate.
See <http://gcc.gnu.org/bugs.html> for instructions.
make: *** [Makefile:112: release/main.o] Error 1

うーーーん、これは痛い・・・

そーいえば、ルネサスさん、RL78 用に LLVM ベースのコンパイラをリリースしているんだよなぁー、アレ試してみたいんだよなぁー

今ここ。


まとめ

とりあえず、R8C、RX 関係は、何とかなったので、RL78 も何とかしたいけど、時間切れ。
Linux 環境も試しておく必要があるし、まだ、時間がかかる。

R8C の教材も中途だし、中々先に進まない。

しかし、Windows の最新環境にマッチするように改修したのは、大きな進歩と思える。

RXマイコン、RX621/RX62N のサポート

※昔に購入した RX62N が載った格安ボード、確か2000円くらいで買った覚えがあるが、現在は5000円くらいする。


古い、RX621/RX62N のサポート

RX621/RX62N は、そこそこ古いRXマイコンのグループで、C++ フレームワークの出発点となった記念すべきCPUでもある。

しかし、新しいグループがリリースされ、使わなくなり、機能的に見劣りするのと、新規に購入するのもコスト的に見合わないので、ある時期から「レガシー」として、サポートをやめてしまった。

ところが、現在、政治的な動きに係る半導体不足から、最近リリースされた新しいデバイスの購入が殆ど出来なくなっており、いつ解消するかも不透明となっている。
RX621/RX62N は、かなり昔のデバイスで、そこそこ流通しており、かなり昔に、本の付録として流通した事もあるし、秋月では、未だに販売もされている。
なので、持っている人で肥やしになってる人も少なからずいるのではないか?

最終的には、RXマイコン全制覇を目論んでいるので、そろそろ、仕組みを考えておくのも必要だと考えていたので今回のサポートは丁度良いタイミングとなっている。

速度的には、100MHz 動作で、浮動小数点演算器も持っているデバイスなので、パフォーマンス的には、現在でもそんなに悪くなく、機能もそこそこあるので、何か作る場合でも、そんなに困らないのではと思う。

それでも、新規に購入しようとするとそこそこの価格だが、秋月で購入も可能なので、入手性など考えると、サポートしない理由はない。


構成を部分的に考え直して修正

この頃のRXマイコンは、現在の豊富な機能と比べると、かなり見劣りする。

C++ フレームワークでは、機能的に異なる部分を隠蔽するような仕組みを多数使っているので、「#if」などコンパイルの制御文を駆使しなくても、かなり綺麗に実装が可能となっている。
それでいて、最適化後のコードには、余分な部分が殆ど残らないので、速度低下もなく、上位の層(アプリケーション部分)は、ほぼそのまま再利用が可能となっている。

「#if」を多用して、細かい動作を切り替えているソースを読んだ事がある人は、判ると思うが、非常に読みにくく、デバッグも困難になる。
C++ では、そんな実装方法をとらなくても、最小限の分岐だけで、かなり複雑で柔軟な構成にできる。


FIRST_sample

まずは、LED 点滅から・・・

RX62x は、クロック生成部分が、非常にシンプルで、構成が大きく異なるので、専用のクラスとし、新規に書き直した。

ポートの構成も、大きく異なるので、専用のクラスとした。

各ファイルのインクルード制御は、common/device.hpp、common/renesas.hpp で行っている。

  • なので、アプリケーション側は、「common/renesas.hpp」をインクルードするだけで良い。

また、オシロスコープを使って波形を計測、ソフト遅延のパラメーターを適正な値に調整した。

この部分、「#if」で別けているので、定数を clock_profile に定義して参照するようにしないと駄目だな・・・
※今後改修する予定。


SCI_sample

  • SCI を動かすには、割り込みが必要なので、まずは、割り込み関係をサポート
  • 構成は、RX24T に近く、部分的に流用した
  • ついでに、他マイコンで、割り込み関係に係る部分を修正した

SCI 関係のペリフェラルは、現行のRXマイコンと、初期のRXマイコンでは、かなり異なる。

大きく異なるのは、ボーレートクロック生成の仕組みとなっている:

  • 倍速モードの追加
  • ボーレート変調レジスタの追加(比較的高いボーレートの場合に、クロックを間引いて、なるべく正確なレートになるように調整)
        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  シリアル拡張レジスタ (SEMR)
            @param[in]  ofs     レジスタ・オフセット
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        template <uint32_t ofs>
        struct semr_t : public rw8_t<ofs> {
            typedef rw8_t<ofs> io_;
            using io_::operator =;
            using io_::operator ();
            using io_::operator |=;
            using io_::operator &=;

            bit_rw_t<io_, bitpos::B0> ACS0;
            bit_rw_t<io_, bitpos::B2> BRME;       // sci[g]

            bit_rw_t<io_, bitpos::B4> ABCS;
            bit_rw_t<io_, bitpos::B5> NFEN;       // sci[g]
            bit_rw_t<io_, bitpos::B6> BGDM;       // sci[g]
            bit_rw_t<io_, bitpos::B7> RXDESEL;    // sci[g]
        };

上記は、SEMR レジスタの定義だが、「sci[g]」は、新しいRXマイコンにはあるが、RX62x には存在しない。
現行の SCI 制御クラス(sci_io.hpp)では、全てを使ってボーレートを生成しているので、そのままでは、機能の無いマイコンには使えない。

RX62x に無いフラグやレジスタを定義から外す事も可能だが、それを行うと、sci_io.hpp のコンパイルが出来なくなってしまう。

  • なので、利用しているフラグビットは、常に存在するようにしないとならない(使う、使わないだけで別ける)
  • より厳密に行うには、そのビットにアクセスしても、無意味になるように出来るけど、それはやり過ぎと思ったので・・

そこで、SCI の定義クラスに、どのビットが有効なのかを宣言しておく。

  • sci_io クラスは、それを参照して利用するか、しないかを決定する。
  • 無効なビットに書き込む場合は、「0」を必ず書くようにする。
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  SCIa 定義クラス
        @param[in]  base    ベース・アドレス
        @param[in]  per     ペリフェラル型
        @param[in]  txv     送信ベクター
        @param[in]  rxv     受信ベクター
        @param[in]  tev     送信終了ベクター
        @param[in]  pclk    PCLK 周波数
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    template <uint32_t base, peripheral per, ICU::VECTOR txv, ICU::VECTOR rxv,
        typename INT, INT tev, uint32_t pclk>
    struct scia_t : public sci_core_t<base> {

        static constexpr auto PERIPHERAL = per; ///< ペリフェラル型
        static constexpr auto TX_VEC = txv;     ///< 受信割り込みベクター
        static constexpr auto RX_VEC = rxv;     ///< 送信割り込みベクター
        static constexpr auto TE_VEC = tev;     ///< 送信終了割り込みベクター
        static constexpr auto PCLK = pclk;  ///< PCLK 周波数

        static constexpr bool SEMR_BRME = false;    ///< BRME(ボーレート微調整)
        static constexpr bool SEMR_BGDM = false;    ///< BGDM(ボーレート倍速)

最近のRXマイコンでは:

    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  SCIg クラス
        @param[in]  base    ベース・アドレス
        @param[in]  per     ペリフェラル型
        @param[in]  txv     送信ベクター
        @param[in]  rxv     受信ベクター
        @param[in]  tev     送信終了ベクター
        @param[in]  pclk    PCLK 周波数
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    template <uint32_t base, peripheral per, ICU::VECTOR txv, ICU::VECTOR rxv,
        typename INT, INT tev, uint32_t pclk>
    struct scig_t : public sci_core_t<base>, sci_core2_t<base> {

        static constexpr auto PERIPHERAL = per; ///< ペリフェラル型
        static constexpr auto TX_VEC = txv;     ///< 受信割り込みベクター
        static constexpr auto RX_VEC = rxv;     ///< 送信割り込みベクター
        static constexpr auto TE_VEC = tev;     ///< 送信終了割り込みベクター
        static constexpr uint32_t PCLK = pclk;  ///< PCLK 周波数

        static constexpr bool SEMR_BRME = true; ///< BRME(ボーレート微調整)
        static constexpr bool SEMR_BGDM = true; ///< BGDM(ボーレート倍速)
    };

RXマイコングループの違いは、以下のようになっている(#if が必要な部分)

  • SCI の基準クロックは、clock_profile に定義してあり、それを参照している。
  • RX62x の場合は「clock_profile::PCLK」、RX24T の場合は「colock_profile::PCLKB」となる。
  • SCI ハードウェアーの開始アドレスも大きく異なる。
  • RX72N などでは、割り込みの「型」も異なる。
#if defined(SIG_RX621) || defined(SIG_RX62N)
    typedef scia_t<0x00088240, peripheral::SCI0, ICU::VECTOR::TXI0, ICU::VECTOR::RXI0,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI0, clock_profile::PCLK> SCI0;
    typedef scia_t<0x00088248, peripheral::SCI1, ICU::VECTOR::TXI1, ICU::VECTOR::RXI1,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI1, clock_profile::PCLK> SCI1;
    typedef scia_t<0x00088250, peripheral::SCI2, ICU::VECTOR::TXI2, ICU::VECTOR::RXI2,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI2, clock_profile::PCLK> SCI2;
    typedef scia_t<0x00088258, peripheral::SCI3, ICU::VECTOR::TXI3, ICU::VECTOR::RXI3,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI3, clock_profile::PCLK> SCI3;
    typedef scia_t<0x00088268, peripheral::SCI5, ICU::VECTOR::TXI5, ICU::VECTOR::RXI5,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI5, clock_profile::PCLK> SCI5;
    typedef scia_t<0x00088270, peripheral::SCI6, ICU::VECTOR::TXI6, ICU::VECTOR::RXI6,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI6, clock_profile::PCLK> SCI6;
#elif defined(SIG_RX24T)
    typedef scig_t<0x0008A020, peripheral::SCI1, ICU::VECTOR::TXI1, ICU::VECTOR::RXI1,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI1, clock_profile::PCLKB> SCI1;
    typedef scig_t<0x0008A020, peripheral::SCI1C, ICU::VECTOR::TXI1, ICU::VECTOR::RXI1,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI1, clock_profile::PCLKB> SCI1C;
    typedef scig_t<0x0008A0A0, peripheral::SCI5, ICU::VECTOR::TXI5, ICU::VECTOR::RXI5,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI5, clock_profile::PCLKB> SCI5;
    typedef scig_t<0x0008A0A0, peripheral::SCI5C, ICU::VECTOR::TXI5, ICU::VECTOR::RXI5,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI5, clock_profile::PCLKB> SCI5C;
    typedef scig_t<0x0008A0C0, peripheral::SCI6, ICU::VECTOR::TXI6, ICU::VECTOR::RXI6,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI6, clock_profile::PCLKB> SCI6;
    typedef scig_t<0x0008A0C0, peripheral::SCI6C, ICU::VECTOR::TXI6, ICU::VECTOR::RXI6,
        ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::TEI6, clock_profile::PCLKB> SCI6C;

sci_io クラスでは、SCI に定義してある、値を参照して処理を切り替えている。

            // BGDM が使える場合、1/8 スタート
            uint32_t mtx = 8;
            uint32_t limit = 1024;
            if(!SCI::SEMR_BGDM) {  // BGDM が使えない場合 1/16 スタート
                mtx = 16;
                limit = 512;
            }
            uint32_t brr = SCI::PCLK / mtx / baud;
            uint8_t cks = 0;
            while(brr > limit) {
                brr >>= 2;
                ++cks;
                if(cks >= 4) {  // 範囲外の速度
                    port_map::turn(SCI::PERIPHERAL, false, PSEL);
                    power_mgr::turn(SCI::PERIPHERAL, false);
                    return false;
                }
            }

            // BGDM フラグの設定
            bool bgdm = true;
            if(SCI::SEMR_BGDM) {
                if(brr > 512) { brr >>= 1; bgdm = false; mtx <<= 1; }
            } else {
                bgdm = false;
            }
            bool abcs = true;
            if(brr > 256) { brr >>= 1; abcs = false; mtx <<= 1; }

C++ を知らない人は、最適化されても、余分なコードが含まれると思うかもしれないが、C++ の最適化では、参照先の状態に応じて、必要無い部分は、全て消してくれる。
テンプレートクラスでは、それが、究極的に行われる。
そして、必要な部分だけが、残る、コンパイル時に計算出来る部分は、計算され、定数が直接使われる。
※なので、constexpr などが重要な要素となる。


GNU-RX 8.3.0 の対応

今まで、RXv2 コアは、コンパイルオプション、「-misa=v2」を使っていたのだが、RXv2 コアは、昔と今では、多少異なるようだ・・・

RX62x で、「-misa=v2」でコンパイルすると、浮動小数点の計算で例外が出るようだ。
RX62x は、RXv1 コア。
※RX24T、RX65x などでは問題無い。
結局、RX62x では、「-mcpu=RX600」とする事で、適合するコードが生成される事が判った。

以下、makefile の共通部分:

ifeq ($(RX_DEF),SIG_RX62N)
  RX_CPU = RX62N
  RX_CHOOSE = -mcpu=RX600
  LDSCRIPT  =   ../../RX62x/$(DEVICE).ld
endif

ifeq ($(RX_DEF),SIG_RX24T)
  RX_CPU = RX24T
  RX_CHOOSE = -misa=v2
  LDSCRIPT  =   ../../RX24T/$(DEVICE).ld
  PROG_VERIFY =
endif

RAYTRACER_sample

少し大きいアプリを試しておく必要があるので、浮動小数点演算などが多く含まれたプログラムを走らせてみた。

RX62x は、RXv2 コアだが、fsqrt などの命令をサポートしないようだ・・
RX62x は、RXv1 コア
これが利いて、96MHz ではあるが、一番遅い・・

マイコン core fsqrt 命令 周波数 [MHz] 描画方式 時間 [ms]
RX62N RX600 X 96 8 bits, port-bus 1860
RX24T RXv2 O 80 8 bits, port-bus 1224
RX65N RXv2 O 120 Frame Memory 784
RX64M RXv2 O 120 16 bits, port-bus 751
RX66T RXv3 O 160 8 bits, port-bus 602
RX72T RXv3 O 192 8 bits, port-bus 464
RX71M RXv2 O 240 16 bits, port-bus 439
RX72N RXv3 O 240 Frame Memory 361
  • 単に動かしただけで、生成した画像を観ていないが、ストールせずに走るので、ちゃんと計算しているものと思う。
  • 余裕が出来たら LCD を接続して確認したい。

まとめ

RX62x のサポートがスムーズに出来たので、頃合いをみて、次は手持ちの RX63T をサポートしようと思う。
その前に、各サンプルで、RX62x のプロジェクトを追加する必要があるけど・・

それと、rx_prog で RX62x のフラッシュを書けるようにしたいが、これは、かなり昔のプロトコルなので時間がかかりそうだ・・・


雑誌付録の RX62N 基板を持っていて、譲っても良い人は連絡をくれると助かります。

RXマイコン、デジタルストレージオシロスコープ(その4)

かなり間が空いたが、再び、デジタルストレージの作業を行った。

ソフトの作業も平行して行っており、かなり充実してきている。


プローブを買い直す。

60MHz のプローブを買い直した、まぁ現代は、それなりに安く購入できるので助かる。

以前に買った 60MHz のプローブはトリマを回すのに特殊なドライバーが必要で(ドライバー無くした)、もっと安いプローブがあったので、別件で部品を買うついでに買ってみた。

60MHz プローブ(TEXAS60)


昔会社勤めの時、プローブの扱いに注意するよう散々言われた、テクトロニクスの 350MHz オシロ用プローブは1本5万くらいしていた。
※実験で色々作業している過程で、プローブを壊す(先のピンを折ってしまう)事が多かったようだ。
※テクトロのプローブは、沢山の知恵が詰っている優れもので、感動した事を覚えている。

プリアンプを考える

実験的に、初段のプリアンプとして、OPA2134Aを使っていたが、これは、オーディオ用なので、帯域が足りない。
※高い周波数でゲインが低下する。
※それに、そんなに安いオペアンプではない。

そこで、色々なオペアンプを探すものの、高性能な物は値段が高く、オーバースペックでもある。
サンプリングが 2MHz だと、高い周波数は測れないのは当然なのだが、
低い周波数でも矩形波を観測した場合などに、立ち上がりや立下りが実際と異なり鈍ると測定器として成立しない。
※正弦波でも、周波数によってゲインが下がって、正確な電圧を計測出来ない。
入力インピーダンスは通常1Mオームと高いので、高速でも、バイアス電流がある程度必要なオペアンプは使えない。

意外と丁度良い物が無い・・

基本的な特性として、以下の点が挙げられる。(これは、今回のプロジェクトに合致する)
※他にも、色々な項目があり、以下の条件をクリアしていても使えない場合もある。

  • スルーレートが高く、GB積が大きい
  • 入力バイアス電流が低い
  • 雑音が少ない
  • +-5V で使える
  • コストがそれなり
  • 二個入り

探す目安でしかないが、非常に沢山の品種から探すのは、何かトピックが無いと絞るのが難しいので、これらの項目で絞って選択する事になる。
※「A/D 変換の入力プリアンプ用」も選択の目安となると思う。
※1個単位で買えて、それなりに安い事も重要。

入力バイアス電流、雑音、速度は、一般的にトレードオフの関係があり、昔は、そのようなオペアンプは無かったと思うが、現在は、技術革新があり、そのような品種がリリースされている。

それで見つけたのが「アナログデバイセズの AD8066」、チップワンストップで10個程購入した(1個400円くらいだった)
※現在は、廃盤になったのか、在庫分くらいしか無いようで、倍の値段になっている・・・

主な特徴は:

  • 入力バイアス電流:1pA
  • 低価格
  • 145MHzで-3dBの帯域幅(G = +1)
  • 180V/µsのスルーレート(G = +2)
  • 低雑音
  • 5~24V
  • 単一電源およびレール・ツー・レール出力
  • 低いオフセット電圧:最大1.5mV

部品が来て、実験すると、まさに思った通りの性能で、感動した!
素晴らしいとしか言いようが無い!

アナログデバイセズ AD8065/AD8066

DC カップリング

RX72N Envision Kit の外部ポートには、200オームの保護抵抗があり、直でドライブするのは不安な為、FETスイッチを入れてある。

DC を除去する「AC」モードと、DC を観測する機能の切り替えとして、回路を簡単にする為、簡易な回路に変更した。
単純に、カップリングのコンデンサを、フォトモスリレーでショートするだけにした、実験では問題無いようだ。
※ACからDCに切り替える時、コンデンサに溜まった電荷をショートするが、ON 抵抗があるので問題無いだろうと思う。

※ただ、この時使った「PS7200K」は、現在では入手が難しいようなので、他の部品を探す必要がある。

一応入力保護

入力に過大な電圧が入った場合に回路を保護するサージ対策について調べた。
完全に保護する事は出来ないが、ある程度のバリアにはなると思う。
すると、非常に高性能でありながら、回路に与える影響が非常に少ない部品(ガス放電管アレスタ)がある事に気がついた。
値段もそんなに高く無い。
今回は、海外の部品で「Littelfuse SG90」を使う事にした(SMD 部品)。
※日本製は数がまとまらないと入手が難しい。(日本製を使いたいのに、このような制約で使う事が出来ない・・)
※最低発注数1000個とか無理!

Littlefuse GDT-SG90

レンジ切り替え

基本、RXマイコンのA/D入力(0~3.3V)なので、レンジ切り替えが必要で、以下の回路を考えてみたが、実験すると、これでは駄目な事が判った・・・

74HC4051 の入力部分には、寄生容量があり、波形が鈍る・・・
※最初は、2MHz のサンプリングなので十分と思っていたが、オシロスコープの入力インピーダンスは1Mオームと高いので、微小な容量でも効いてくる。

アナログSWを通した場合:

本来の波形:

結局、メカリレーにするしか無いかもしれない・・・
※一応、そんな事もあろうかと、部品は買ってあるが、回路を作るのが面倒だし、リレーをドライブする回路を追加する必要がある。

その前に、フォトMOSリレーをスイッチ替わりにして実験してみようと思う。

まとめ

オペアンプは、価格が高いので、他を探す必要がある。(一応候補は見つけたが、実験しておく必要がある。)
ガス放電管アレスタは、Digikey から購入する事になると思うので、キリが良いところで、まとめて発注する。

本当は、PCB のトラックを引くところまで済ます予定だったが、レンジ切り替えの問題で、先延ばしになった。

今回はここまで、別件もあり、中々集中する事が出来ない・・

RXマイコンで、TinyUSB を使ってみる

TinyUSB について

最近、USB のスタックで評判の TinyUSB を実験してみた。

現状の実装では、主に以下のような感じとなっている。

  • オープンソースである。
  • 非常に多くのマイコンに対応している。
  • RX マイコンも、デバイス(クライアント)、ホストのドライバーが用意されている。
  • 主にデバイスの機能が充実している。(PC に繋ぐ、USB 機器を作る場合)
  • USB ホストは実装が始まったばかりで、あまり枯れていないよう。
  • 全体の構成が判りやすく、サンプルやドキュメントが充実している。
  • 機能実装、バグ修正などが GitHub で行われており、将来性が有望。
  • 「Tiny」となっているが、プロジェクトはかなり大きい。
  • API の仕様が明確で適切なので、マイコンの種別に関係無く、ソースコードの再利用が出来る。(ここが大きい!)

など、かなり魅力的なプロジェクトとなっている。

RX マイコン用のドライバーもあるので、自分の環境で実験してみた。
※当初、ホストのドライバーが無かったが、現在は、コミットされている。

RX マイコン用ドライバーは、Koji KITAYAMA さんが実装しているようで、御礼申し上げます。


自分のシステムに取り込む場合

自分の C++ フレームワークに取り込むには、多少の改造が必要なので、その過程を記す。

  • TinyUSB には、サンプルプログラムが沢山あるが、RX マイコンで使う場合、主に CC-RX 環境に依存しているので、gcc で使うには問題がある。
  • そこで、最小限の改造で、使うようにする為、自分のシステムに必要な部分だけ取り込んで実験した。
  • とりあえず、ホスト機能を使い、ゲームパッドやキーボードを利用する事が目的となっている。
  • 非常に機能が豊富なので、他も試していきたい。

RX マイコンのオフィシャルな対応としては、RX63N、RX65N、RX72N となっているが、基本、USB ペリフェラルは、ほぼ同じ構成なので、RX64M、RX71M、RX66T、RX72T など多くのデバイスにも使えると思われる。
※基本 USB2.0 系で、LowSpeed(1.5Mbps)、FullSpeed(12Mbps)に対応していれば良いようである。
※ RX631/RX63N はマイコン側が LowSpeed に対応しない。
※ RX64M/RX71M の HighSpeed(480Mbps)には対応していない。

USB0 のクロック設定

USB0 ペリフェラルのクロック源には 48MHz が必要なので、クロックジェネレーターの設定を調整する。
RX72N では、内部 PLL を 240MHz にすれば、48MHz は 1/5 にすれば良い。

自分のフレームワークでは、clock_profile.hpp で、以下の設定をして、boost_master_clock() を呼べば、あとは自動で設定してくれる。

    class clock_profile {
    public:
        static constexpr bool       TURN_USB    = true;             ///< USB を使う場合「true」
        static constexpr uint32_t   BASE        =  16'000'000;        ///< 外部接続クリスタル
        static constexpr uint32_t   PLL_BASE    = 240'000'000;        ///< PLL ベースクロック(最大240MHz)

        static constexpr uint32_t   ICLK        = 240'000'000;        ///< ICLK 周波数(最大240MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKA       = 120'000'000;        ///< PCLKA 周波数(最大120MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKB       =  60'000'000;        ///< PCLKB 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKC       =  60'000'000;        ///< PCLKC 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKD       =  60'000'000;        ///< PCLKD 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   FCLK        =  60'000'000;        ///< FCLK 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   BCLK        = 120'000'000;        ///< BCLK 周波数(最大120MHz)
    };

※48MHz が作れない設定を行うと、コンパイルを失敗する。

        static constexpr bool       TURN_USB    = true;             ///< USB を使う場合「true」
        static constexpr uint32_t   BASE        =  16'000'000;        ///< 外部接続クリスタル
        static constexpr uint32_t   PLL_BASE    = 200'000'000;        ///< PLL ベースクロック(最大240MHz)

        static constexpr uint32_t   ICLK        = 200'000'000;        ///< ICLK 周波数(最大240MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKA       = 100'000'000;        ///< PCLKA 周波数(最大120MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKB       =  50'000'000;        ///< PCLKB 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKC       =  50'000'000;        ///< PCLKC 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKD       =  50'000'000;        ///< PCLKD 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   FCLK        =  50'000'000;        ///< FCLK 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   BCLK        = 100'000'000;        ///< BCLK 周波数(最大120MHz)

---

../RX600/system_io.hpp:228:34: error: static assertion failed: USB Clock can't divided.
    static_assert(usb_div_() >= 2 && usb_div_() <= 5, "USB Clock can't divided.");
                  ~~~~~~~~~~~~~~~~^~~~~~~~~~~~~~~~~~
../RX600/system_io.hpp:230:44: error: conversion from 'long unsigned int' to 'device::rw16_t<524324>::value_type' {aka 'short unsigned int'} changes value from '4294967295' to '65535' [-Werror=overflow]
    device::SYSTEM::SCKCR2.UCK = usb_div_() - 1;
                                 ~~~~~~~~~~~^~~
cc1plus.exe: all warnings being treated as errors
make: *** [Makefile:193: release/main.o] エラー 1

USB0 のポート設定

RX72N Envision Kit では、USB の関係ポートとして、以下の2ポートを利用している。

  • USB0_VBUSEN(P16) USB 機器の電源制御ポート
  • USB0_OVRCURB(P14) 外部接続機器の電流制限がオーバーした場合を通知するポート

現在の実装では「オーバーカレント」は観ていないようなので、USB0_VBUSEN のみ設定を行う。

ポート設定は、現在は、ポートマップのオーダーを「SECOND」にする事で、RX72N Envision Kit に対応したもになるようにしてある。

とりあえず、tinyusb_mng クラスを用意して、対応している。

        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  開始
            @param[in]  ilvl    割り込みレベル
            @return 成功なら「true」
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        bool start(uint8_t ilvl) noexcept
        {
            if(ilvl == 0) {  // 割り込み無しはエラー
                return false;
            }

            power_mgr::turn(USB_CH::PERIPHERAL);

            // VBUSEN, OVERCURA ピンの設定
            if(!port_map::turn(USB_CH::PERIPHERAL, true, PSEL)) {
                return false;
            }

            ivec_ = icu_mgr::set_interrupt(USB_CH::I_VEC, i_task_, ilvl);

//          utils::format("USB clock divider: 0b%04b\n") % static_cast<uint16_t>(device::SYSTEM::SCKCR2.UCK());
//          utils::format("USB0 interrupt vector: %u\n") % static_cast<uint16_t>(ivec_);

            tuh_init(BOARD_TUH_RHPORT);

            return true;
        }
---

    // RX72N Envision Kit
    typedef device::tinyusb_mng<device::USB0, device::port_map::ORDER::SECOND> TINYUSB;
    TINYUSB tinyusb_;

USB0 の省電力設定

USB0 の省電力設定解除は、ドライバーでされているが、自分のシステムで行いたいので、コメントアウトした。

tinyusb/src/portable/renesas/usba/hcd_usba.c

bool hcd_init(uint8_t rhport)
{
  (void)rhport;
  /* Enable USB0 */

//  uint32_t pswi = disable_interrupt();
//  SYSTEM.PRCR.WORD = SYSTEM_PRCR_PRKEY | SYSTEM_PRCR_PRC1;
//  MSTP(USB0) = 0;
//  SYSTEM.PRCR.WORD = SYSTEM_PRCR_PRKEY;
//  enable_interrupt(pswi);

USB0 の割り込み設定

RX72N では、USB0/USBI は選択型割り込みとなっているので、割り込みベクターを独自に設定して、TinyUSB のハンドラを呼ぶようにしている。

        static INTERRUPT_FUNC void i_task_()
        {
#if CFG_TUH_ENABLED
            tuh_int_handler(0);
#endif
#if CFG_TUD_ENABLED
            tud_int_handler(0);
#endif
        }

...

            ivec_ = icu_mgr::set_interrupt(USB_CH::I_VEC, i_task_, ilvl);

TinyUSB の RX マイコンドライバーでは、マイコンとして、RX72N を選ぶと、選択型割り込みBは、185番がハードコートされている。

自分のシステムでは、選択型割り込みBの割り込みベクターは、内部で管理されていて、設定順により優先度が決定される。
USB0 の初期化は最初に呼ぶので、128番が設定される。

そこで、ドライバーのソースを修正して、128番を使うように修正を行った。

tinyusb/src/portable/renesas/usba/hcd_usba.c

// hcd_init 内
  IR(PERIB, INTB128) = 0;  // IR(PERIB, INTB185) = 0;

void hcd_int_enable(uint8_t rhport)
{
  (void)rhport;
#if ( CFG_TUSB_MCU == OPT_MCU_RX72N )
  IEN(PERIB, INTB128) = 1;  // IEN(PERIB, INTB185) = 1;
#else
  IEN(USB0, USBI0) = 1;
#endif
}

void hcd_int_disable(uint8_t rhport)
{
  (void)rhport;
#if ( CFG_TUSB_MCU == OPT_MCU_RX72N )
  IEN(PERIB, INTB128) = 0;  // IEN(PERIB, INTB185) = 0;
#else
  IEN(USB0, USBI0) = 0;
#endif
}

これで、TinyUSB を自分のシステムで利用する準備が整った。


TinyUSB のコア部分

TinyUSB のコアでは、「tuh_task()」をサービスすれば良いようで、通常無限ループにする。
しかし、それだと、他に何も出来ないので、とりあえず、CMT で 1000Hz(1ms) のタイミングを作り、呼び出すようにした。

    uint16_t cnt = 0;
    uint16_t cnt_max = 50;  // by 100Hz
    while(1) {
        cnt_max = 500;
        cmt_.sync();

        tuh_task();
#if CFG_TUH_CDC
        cdc_task();
#endif

#if CFG_TUH_HID
        hid_app_task();
#endif

        ++cnt;
        if(cnt >= cnt_max) {
            cnt = 0;
        }
        if(cnt < (cnt_max / 2)) {
            LED::P = 0;
        } else {
            LED::P = 1;
        }
    }

TinyUSB のソースをコンパイルする。

iodefine.h は、e2studio/gcc で生成した物をアプリケーションのルートに置いて利用した。

TinyUSB は、tusb_config.h をアプリケーションに合わせて設定する事で、必要なソースをコンパイルするようになっている。
※アプリケーションのルートに置いてある。

ホスト機能を提供する場合、基本的な設定は以下のようになっている。

#define CFG_TUH_HUB                 0
#define CFG_TUH_CDC                 0
#define CFG_TUH_HID                 4 // typical keyboard + mouse device can have 3-4 HID interfaces
#define CFG_TUH_MSC                 0 // Mass Storage Device
#define CFG_TUH_VENDOR              0

とりあえず、HUB は「0」にしてある。

必要なソースを Makefile に追加して、パス、外部変数などを設定する。

CSOURCES    =   common/init.c \
                common/vect.c \
                common/syscalls.c \
                tinyusb/src/tusb.c \
                tinyusb/src/common/tusb_fifo.c \
                tinyusb/src/device/usbd.c \
                tinyusb/src/device/usbd_control.c \
                tinyusb/src/class/audio/audio_device.c \
                tinyusb/src/class/cdc/cdc_device.c \
                tinyusb/src/class/dfu/dfu_device.c \
                tinyusb/src/class/dfu/dfu_rt_device.c \
                tinyusb/src/class/hid/hid_device.c \
                tinyusb/src/class/midi/midi_device.c \
                tinyusb/src/class/msc/msc_device.c \
                tinyusb/src/class/net/ecm_rndis_device.c \
                tinyusb/src/class/net/ncm_device.c \
                tinyusb/src/class/usbtmc/usbtmc_device.c \
                tinyusb/src/class/video/video_device.c \
                tinyusb/src/class/vendor/vendor_device.c \
                tinyusb/src/class/cdc/cdc_host.c \
                tinyusb/src/class/hid/hid_host.c \
                tinyusb/src/class/msc/msc_host.c \
                tinyusb/src/host/hub.c \
                tinyusb/src/host/usbh.c \
                tinyusb/src/portable/ohci/ohci.c \
                tinyusb/src/portable/renesas/usba/hcd_usba.c

...

USER_DEFS   =   SIG_RX72N CFG_TUSB_MCU=OPT_MCU_RX72N

...

# インクルードパス
INC_APP     =   . ../ \
                ../RX600/drw2d/inc/tes \
                ../tinyusb/src

# C コンパイル時の警告設定
CP_OPT      =   -Wall -Werror \
                -Wno-unused-variable \
                -Wno-unused-function \
                -Wno-stringop-truncation \
                -fno-exceptions

これで、TinyUSB 関係ソースをコンパイル出来た。


HID 関係のサービスを実装する

HID 関係の実装は、サンプルがあるので、それを参考にした。

基本、接続時、解放時、データ転送などでコールバックが呼ばれるので、それに対応するコードを実装する。

extern "C" {

    void tuh_hid_mount_cb(uint8_t dev_addr, uint8_t instance, uint8_t const* desc_report, uint16_t desc_len)
    {
        device::tinyusb_base::hid_mount_cb(dev_addr, instance, desc_report, desc_len);
    }

    void tuh_hid_umount_cb(uint8_t dev_addr, uint8_t instance)
    {
        device::tinyusb_base::hid_umount_cb(dev_addr, instance);
    }

    void hid_app_task(void)
    {
        device::tinyusb_base::hid_app_task();
    }

    void tuh_hid_report_received_cb(uint8_t dev_addr, uint8_t instance, uint8_t const* report, uint16_t len)
    {
        device::tinyusb_base::hid_report_received_cb(dev_addr, instance, report, len);
    }
#if 0
    void tuh_cdc_xfer_isr(uint8_t dev_addr, xfer_result_t event, cdc_pipeid_t pipe_id, uint32_t xferred_bytes)
    {
    }
#endif
    void cdc_task(void)
    {
    }

}

とりあえず、C++ で実装して、TinyUSB に繋いだ・・

    struct tinyusb_base {

        static uint8_t dev_addr_;
        static uint8_t instance_;
        static bool send_;
        static uint8_t leds_;

        static void hid_mount_cb(uint8_t dev_addr, uint8_t instance, uint8_t const* desc_report, uint16_t desc_len)
        {
            uint16_t vid, pid;
            tuh_vid_pid_get(dev_addr, &vid, &pid);

            utils::format("HID device address = %d, instance = %d is mounted\r\n")
                % static_cast<uint16_t>(dev_addr) % static_cast<uint16_t>(instance);
            utils::format("VID = %04x, PID = %04x\r\n") % vid % pid;

            auto detect = false;
            auto itf_protocol = tuh_hid_interface_protocol(dev_addr, instance);
            switch (itf_protocol) {
            case HID_ITF_PROTOCOL_KEYBOARD:
//              process_kbd_report( (hid_keyboard_report_t const*) report );
                utils::format("Detected KEYBOARD\n");
                detect = true;
                break;

            case HID_ITF_PROTOCOL_MOUSE:
//              process_mouse_report( (hid_mouse_report_t const*) report );
                utils::format("Detected MOUSE\n");
                detect = true;
                break;

            default:
                // Generic report requires matching ReportID and contents with previous parsed report info
//              process_generic_report(dev_addr, instance, report, len);
                utils::format("Detected GENERIC\n");
                detect = true;
                break;
            }

            if (detect) {
                if ( !tuh_hid_receive_report(dev_addr, instance) ) {
                    utils::format("Error: cannot request to receive report\r\n");
                }
            }
        }

        static void hid_umount_cb(uint8_t dev_addr, uint8_t instance)
        {
            utils::format("HID device address = %d, instance = %d is unmounted\r\n")
                % static_cast<uint16_t>(dev_addr) % static_cast<uint16_t>(instance);
        }

        static void hid_app_task()
        {
            if(send_) {
                if(!tuh_hid_set_report(dev_addr_, instance_, 0, HID_REPORT_TYPE_OUTPUT, &leds_, sizeof(leds_))) {
                    utils::format("set report fail...\n");
                }
                send_ = false;
            }
        }

        static void hid_report_received_cb(uint8_t dev_addr, uint8_t instance, uint8_t const* report, uint16_t len)
        {
            static uint8_t cnt = 0;

            auto itf_protocol = tuh_hid_interface_protocol(dev_addr, instance);
            switch (itf_protocol) {
            case HID_ITF_PROTOCOL_KEYBOARD:
                {
                    uint8_t tmp[8];
                    memcpy(tmp, report, len);
                    utils::format("%d, %d, %d, %d\n") % static_cast<uint16_t>(tmp[0]) % static_cast<uint16_t>(tmp[1]) % static_cast<uint16_t>(tmp[2]) % static_cast<uint16_t>(tmp[3]);
                    if(tmp[2] == 83 || tmp[2] == 57) {
                        ++cnt;
                        if(cnt & 1) {
                            leds_ |= KEYBOARD_LED_NUMLOCK | KEYBOARD_LED_CAPSLOCK;
                        } else {
                            leds_ = 0;
                        }
                        dev_addr_ = dev_addr;
                        instance_ = instance;
                        send_ = true;
                    }
                }
                break;

            case HID_ITF_PROTOCOL_MOUSE:

                break;

            default:

                break;
            }

            // continue to request to receive report
            if ( !tuh_hid_receive_report(dev_addr, instance) ) {
                utils::format("Error: cannot request to receive report\r\n");
            }
        }
    };

実験してみるが・・・

とりあえず、コンパイルが通ったので、RX72N Envision Kit にキーボードを繋いで実験してみた。

Start 'USB0' test for 'RX72N' 240[MHz]
SCI Baud rate (set):  115200
SCI Baud rate (real): 115384 (0.16 [%])
CMT rate (set):  1000 [Hz]
CMT rate (real): 1000 [Hz] (0.00 [%])
Start USB: OK!
HID device address = 1, instance = 0 is mounted
VID = 1c4f, PID = 0027
Detected KEYBOARD
0, 0, 25, 0
0, 0, 0, 0
0, 0, 10, 0
0, 0, 0, 0
0, 0, 9, 0
0, 0, 0, 0
0, 0, 23, 0
0, 0, 0, 0

USB キーボードを繋いで、キーを押してみた。
反応が返る!

問題点

ネットで、TinyUSB/Host でキーボード接続時、LED を点灯する仕組みを探したら、「tuh_hid_set_report」API を使い、LED ビットに対応するバイトデータを送れば良い事が判り、実装するものの、上記 API は「false」を返して失敗するようだ・・・

色々調べたが、キーボード接続時に、IDLE 設定の転送を行い、それが終了しない為、失敗しているようだが、根本的な原因が判らない・・

他にも、GENRIC デバイス(キーボードを外して、ゲームパッドを接続するとハングアップする)の動作が微妙とか。
最初にゲームパッドを接続して、次にキーボードを接続すると認識しないとか(電源を切るまで認識しなくなる)

色々問題があるようだ・・・
ただ、それが、TinyUSB の問題なのか、RX マイコンのドライバーなのか、切り分けが出来ていない。


まとめ

まだまだ、これからのようだが、将来性を考えると、TinyUSB は良い選択となるものと思える。

今後、色々と環境を整えていきたい。

RX66T、RX72Tのオーバークロック

RX66T、RX72T について

  • RX66T は最大 160MHz
  • RX72T は最大 200MHz
  • 共に RXv3 コア(DFPU は内蔵しない)

同じ RXv3 コアの RX72N、RX72M などは最大 240MHz 動作となっている。

  • RX66T、RX72T は、主にモーター制御などに特化したデバイスで、高クロックで MTU、GPTW などのタイマーを駆動出来る。
  • また、タイマー出力を微妙に遅延させて、より細かい PWM 波形を作る事が出来る機能を内蔵する。
  • CAN を内蔵する事から、ハイブリッドや電気自動車のコントローラーとして需要が大きいのかもしれない。

RX66T は RXv3 コアとして初めての製品なので、160MHz と言う能力は何となく判るが、同時期に出た RX72T の 200MHz は何故なのか疑問を持っていた。
モーター制御としては、下位に RX24T(80MHz) などがあり、それに比べて能力が格段に上がっている。

周波数が高ければ、1個のデバイスで複数のモーターを同時にケア出来る。

普通に考えて、RXv3 コアは共通なのだから、RX66T や RX72T 用に専用のコアを設計する事は考えにくい。
RX66T は、RX72T の選別漏れでは無いかと思っている。(周波数以外は機能は同じ)
多分中身のコアベースは、RX72N と遜色無いのだろうと思える。
ただ、動作周波数が最大 120MHz のRX66N(RX72N の低速版)があり、RX72N として作ったが、選別で落ちて、低速版として再利用しているのは考えられるので、一概に、動作周波数を制限しているのかは、何とも言えない部分でもある。


オーバークロックしてみる

自分の C++ フレームワークでは、クロック設定は、「clock_profile.hpp」に、希望のクロックテーブルを実装すれば、自動で設定されるようにしてある。
SCI、CAN、I2C、タイマーの周期なども、各クラスが、「clock_profile」の設定を継承して、各クラス内で自動で計算するので、気にする必要は無いよう工夫されている。

そこで、まず、RX66T をオーバークロックしてみた。

少しづつ上げて、レイトレースプログラムで実験してみた(浮動小数点などの計算がかなり含まれる)。

結果から言うと、普通に 240MHz で動作するようだー

namespace device {

    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  クロック・プロファイル・クラス @n
                ・分周器の仕様を超える値を指定しない事 @n
                ・PLL_BASE は、0.5 倍単位 @n
                ・他は、PLL_BASE を基数とする整数除算値 @n
                ・詳細はハードウェアーマニュアル参照の事
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    class clock_profile {
    public:
    #if defined(USE_USB)
        static constexpr bool       TURN_USB    = true;             ///< USB を使う場合「true」
        static constexpr uint32_t   BASE        =  12'000'000;        ///< 外部接続クリスタル
        static constexpr uint32_t   PLL_BASE    = 144'000'000;        ///< PLL ベースクロック(最大160MHz)

        static constexpr uint32_t   ICLK        = 144'000'000;        ///< ICLK 周波数(最大160MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKA       =  72'000'000;        ///< PCLKA 周波数(最大120MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKB       =  36'000'000;        ///< PCLKB 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKC       = 144'000'000;        ///< PCLKC 周波数(最大160MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKD       =  36'000'000;        ///< PCLKD 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   FCLK        =  36'000'000;        ///< FCLK 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   BCLK        =  36'000'000;        ///< BCLK 周波数(最大60MHz)
    #else
        static constexpr bool       TURN_USB    = false;            ///< USB を使う場合「true」
        static constexpr uint32_t   BASE        =  10'000'000;        ///< 外部接続クリスタル
#if 0
        static constexpr uint32_t   PLL_BASE    = 160'000'000;        ///< PLL ベースクロック(最大160MHz)

        static constexpr uint32_t   ICLK        = 160'000'000;        ///< ICLK 周波数(最大160MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKA       =  80'000'000;        ///< PCLKA 周波数(最大120MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKB       =  40'000'000;        ///< PCLKB 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKC       = 160'000'000;        ///< PCLKC 周波数(最大160MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKD       =  40'000'000;        ///< PCLKD 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   FCLK        =  40'000'000;        ///< FCLK 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   BCLK        =  40'000'000;        ///< BCLK 周波数(最大60MHz)
#else
        // Over clock... 動く、動くぞ・・・
        static constexpr uint32_t   PLL_BASE    = 240'000'000;        ///< PLL ベースクロック(最大160MHz)

        static constexpr uint32_t   ICLK        = 240'000'000;        ///< ICLK 周波数(最大160MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKA       = 120'000'000;        ///< PCLKA 周波数(最大120MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKB       =  60'000'000;        ///< PCLKB 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKC       = 120'000'000;        ///< PCLKC 周波数(最大160MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKD       =  60'000'000;        ///< PCLKD 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   FCLK        =  60'000'000;        ///< FCLK 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   BCLK        =  60'000'000;        ///< BCLK 周波数(最大60MHz)
#endif
#endif
    };
}
RX66T Start for Ray Trace: 320, 240
# Render time: 371ms (1)

続いて、RX72T、こちらも、問題無く動くw

namespace device {

    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  クロック・プロファイル・クラス @n
                ・分周器の仕様を超える値を指定しない事 @n
                ・PLL_BASE は、0.5 倍単位 @n
                ・他は、PLL_BASE を基数とする整数除算値 @n
                ・詳細はハードウェアーマニュアル参照の事
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    class clock_profile {
    public:
#if 0
#ifdef USE_USB
        static constexpr bool       TURN_USB    = true;             ///< USB を使う場合「true」
        static constexpr uint32_t   BASE        =  16'000'000;        ///< 外部接続クリスタル
        static constexpr uint32_t   PLL_BASE    = 192'000'000;        ///< PLL ベースクロック(最大200MHz)

        static constexpr uint32_t   ICLK        = 192'000'000;        ///< ICLK 周波数(最大200MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKA       =  96'000'000;        ///< PCLKA 周波数(最大120MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKB       =  48'000'000;        ///< PCLKB 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKC       = 192'000'000;        ///< PCLKC 周波数(最大200MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKD       =  48'000'000;        ///< PCLKD 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   FCLK        =  48'000'000;        ///< FCLK 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   BCLK        =  48'000'000;        ///< BCLK 周波数(最大60MHz)
#else
        static constexpr bool       TURN_USB    = false;            ///< USB を利用しない場合「false」
        static constexpr uint32_t   BASE        =  16'000'000;        ///< 外部接続クリスタル
        static constexpr uint32_t   PLL_BASE    = 200'000'000;        ///< PLL ベースクロック

        static constexpr uint32_t   ICLK        = 200'000'000;        ///< ICLK 周波数
        static constexpr uint32_t   PCLKA       = 100'000'000;        ///< PCLKA 周波数
        static constexpr uint32_t   PCLKB       =  50'000'000;        ///< PCLKB 周波数
        static constexpr uint32_t   PCLKC       = 200'000'000;        ///< PCLKC 周波数
        static constexpr uint32_t   PCLKD       =  50'000'000;        ///< PCLKD 周波数
        static constexpr uint32_t   FCLK        =  50'000'000;        ///< FCLK 周波数
        static constexpr uint32_t   BCLK        =  50'000'000;        ///< BCLK 周波数
#endif
#else
        static constexpr bool       TURN_USB    = true;             ///< USB を使う場合「true」
        static constexpr uint32_t   BASE        =  16'000'000;        ///< 外部接続クリスタル
        static constexpr uint32_t   PLL_BASE    = 240'000'000;        ///< PLL ベースクロック(最大200MHz)

        static constexpr uint32_t   ICLK        = 240'000'000;        ///< ICLK 周波数(最大200MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKA       = 120'000'000;        ///< PCLKA 周波数(最大120MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKB       =  60'000'000;        ///< PCLKB 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKC       = 240'000'000;        ///< PCLKC 周波数(最大200MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKD       =  60'000'000;        ///< PCLKD 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   FCLK        =  60'000'000;        ///< FCLK 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   BCLK        =  60'000'000;        ///< BCLK 周波数(最大60MHz)
#endif
    };
}
RX72T Start for Ray Trace: 320, 240
# Render time: 371ms (1)

実用になるのか?

スペックを超えて動作させるのは、現場では決して行わないが、アマチュアの遊びとしては、それなりに面白い。

現在、デバイスの入手性が極めて悪く、RX72T、RX72N、RX72M などはほぼ入手が出来ない状況となっている。
RX66T については、多少割高だが入手出来るようだ。(自分が買った時の倍近い)
※RX66T と RX72T は値段の差が少ないので(以前、潤沢にデバイスが買えた時期には、逆転現象もあった)、RX72T 一択となるだろうと思える。

まだ、タイマーなど、高クロックで駆動するペリフェラルを評価していないので何とも言えない部分もあるし、連続で動かしている時に停止するとか、色々なアクシデントはあるかもしれないが、とりあえず、動作は確認出来た。

周波数を制限する要因が何なのか、想像でしか無い為、非常にグレーな部分が多いものの、240MHz で動くなら、色々と有利な面も多い。

最近の半導体は、昔に比べて、マージンが大きいし、基本的なスペックは、元々の能力では無く、営業的な側面から決められている事も考えると、動いて当たり前なのかもしれない。

自分としては、低価格で購入でき、高性能な RXxxT シリーズは前から好きなので、これからもこのシリーズには注力したいと思う。


それにしても半導体不足はいつまで続くのか・・・

久しぶりに format クラスを更新

format クラスの見直し

  • format クラスは、組み込みマイコン用に、危険な printf を置き換える為に、boost::format の縮小版のようなノリでコツコツ実装してきた。
  • 組み込みマイコンで C++ を使う場合に、重宝するものと思う。
  • 組み込みマイコンでは、リソースの問題で、iostream などを使う事が難しい。
  • かと言って、C++ で printf を使うのも気が引ける。
  • printf は可変引数を使っているので、致命的な欠点を持っている。
  • 通常、組み込みマイコンを使った製品では、内部で printf を使う事はない。
  • 自前 format クラスは、printf を使うよりコンパクトになるものと思う。
  • 細かい部分を見直し、常に品質を向上するようにしている。
  • 今まで、%g の対応をしていなかったので、今回は、それに注力した。
  • テストケースも同時にアップデートしてより広範囲に仕様を満足するようにした。

浮動小数点の扱い

  • printf の場合、浮動小数点は、内部的には double 扱いになっている。
  • format クラスは、リソースを節約する為、float 扱いだが、有効桁が8桁くらいなら精度も問題なく運用出来ると思う。
  • float は IEEE-754 32 ビットフォーマットとなっている。

何と言っても簡単に使える

  • format クラスは、「format.hpp」のヘッダーのみで、インクルードするだけで使える。
  • ライブラリのリンクも必要無い。
  • 名前空間として「utils」を使っている。
  • boost::format は、フォームとパラメーターが食い違う場合、例外を投げる、自前 format は、内部でエラーコードで対応している。
  • C++ のオペレーター機能を使い、パラメーターを与えているので、安全で、printf に近いコンビニエンス性がある。
#include "format.hpp"

int main()
{
    float value = 1.234f;
    utils::format("Value: %4.3f\n") % value;
}
Value: 1.234

拡張機能

  • 拡張機能として、二進表示「%b」を追加してある。
  • ポインターのアドレスを表示する場合「%p」を使う。

標準出力

  • format は、標準出力として、stdout を使う。
  • 組み込みマイコンでは、write 関数に対して、stdout のハンドルを使い出力する。
  • RX マイコンでは、syscalls.c にその実装があり、内部で put_char 関数に文字を出力するようになっている。
  • メイン部などで、put_char 関数を "C" 用に extern しておいて、その関数から、SCI などに送れば、シリアル出力できる。

他の使い方

    typedef basic_format<stdout_buffered_chaout<256> > format;
    typedef basic_format<stdout_chaout> nformat;
    typedef basic_format<memory_chaout> sformat;
    typedef basic_format<null_chaout> null_format;
    typedef basic_format<size_chaout> size_format;

上記のような「typedef」があり、文字列出力の他、サイズだけ取得するなど、色々な応用が出来る。

※通常、format は小さなバッファを通して、標準出力しているので、「改行」を送らない場合、明示的に「flush」を呼んで、バッファに残った文字を掃き出す必要がある。

今回のアップデートでは、%g(有効桁自動表示)対応がメイン

長い間、浮動小数点の「%g」(自動)フォームに対応していなかったので、それに対応した。
※「Test20」がその検査にあたる。

まだ、テストケースが不十分な感じがするので、バグがあるものと思うが、とりあえず大丈夫そうなので、Github にプッシュした。

Github: format_class

テストケースは、以下のように20パターンあるけど、まだ足りないので、追々追加して、強固なものにしようと思う。

Test01, output buffer size check: (0)  Ref: '0123456789' <-> Res: '0123456'  Pass.
Test02(0), decimal check. Ref: 'form=12345678' <-> Res: 'form=12345678'  Pass.
Test02(1), decimal check. Ref: 'form=-12345678' <-> Res: 'form=-12345678'  Pass.
Test02(2), decimal check. Ref: 'form=     12345678' <-> Res: 'form=     12345678'  Pass.
Test02(3), decimal check. Ref: 'form=    -12345678' <-> Res: 'form=    -12345678'  Pass.
Test02(4), decimal check. Ref: 'form=000012345678' <-> Res: 'form=000012345678'  Pass.
Test02(5), decimal check. Ref: 'form=-00012345678' <-> Res: 'form=-00012345678'  Pass.
Test02(6), decimal check. Ref: 'form=12345678' <-> Res: 'form=12345678'  Pass.
Test02(7), decimal check. Ref: 'form=-12345678' <-> Res: 'form=-12345678'  Pass.
Test02(8), decimal check. Ref: 'form=12345678' <-> Res: 'form=12345678'  Pass.
Test02(9), decimal check. Ref: 'form=-12345678' <-> Res: 'form=-12345678'  Pass.
Test03(0), octal check. Ref: 'form=1245667' <-> Res: 'form=1245667'  Pass.
Test03(1), octal check. Ref: 'form=   1245667' <-> Res: 'form=   1245667'  Pass.
Test03(2), octal check. Ref: 'form=001245667' <-> Res: 'form=001245667'  Pass.
Test03(3), octal check. Ref: 'form=1245667' <-> Res: 'form=1245667'  Pass.
Test03(4), octal check. Ref: 'form=1245667' <-> Res: 'form=1245667'  Pass.
Test04(0), binary check. Ref: 'form=10101110' <-> Res: 'form=10101110'  Pass.
Test04(1), binary check. Ref: 'form=    10101110' <-> Res: 'form=    10101110'  Pass.
Test04(2), binary check. Ref: 'form=0000010101110' <-> Res: 'form=0000010101110'  Pass.
Test04(3), binary check. Ref: 'form=10101110' <-> Res: 'form=10101110'  Pass.
Test04(4), binary check. Ref: 'form=10101110' <-> Res: 'form=10101110'  Pass.
Test05(0), hex-dedcimal check. Ref: 'form=12a4bf9c' <-> Res: 'form=12a4bf9c'  Pass.
Test05(1), hex-dedcimal check. Ref: 'form=  12a4bf9c' <-> Res: 'form=  12a4bf9c'  Pass.
Test05(2), hex-dedcimal check. Ref: 'form=012a4bf9c' <-> Res: 'form=012a4bf9c'  Pass.
Test05(3), hex-dedcimal check. Ref: 'form=12a4bf9c' <-> Res: 'form=12a4bf9c'  Pass.
Test05(4), hex-dedcimal check. Ref: 'form=12a4bf9c' <-> Res: 'form=12a4bf9c'  Pass.
Test05(5), hex-dedcimal check. Ref: 'form=12A4BF9C' <-> Res: 'form=12A4BF9C'  Pass.
Test05(6), hex-dedcimal check. Ref: 'form=  12A4BF9C' <-> Res: 'form=  12A4BF9C'  Pass.
Test05(7), hex-dedcimal check. Ref: 'form=012A4BF9C' <-> Res: 'form=012A4BF9C'  Pass.
Test05(8), hex-dedcimal check. Ref: 'form=12A4BF9C' <-> Res: 'form=12A4BF9C'  Pass.
Test05(9), hex-dedcimal check. Ref: 'form=12A4BF9C' <-> Res: 'form=12A4BF9C'  Pass.
Test06(0), positive decimal check. Ref: 'form=12345678' <-> Res: 'form=12345678'  Pass.
Test06(1), positive decimal check. Ref: 'form=4282621618' <-> Res: 'form=4282621618'  Pass.
Test06(2), positive decimal check. Ref: 'form=     12345678' <-> Res: 'form=     12345678'  Pass.
Test06(3), positive decimal check. Ref: 'form=   4282621618' <-> Res: 'form=   4282621618'  Pass.
Test06(4), positive decimal check. Ref: 'form=000012345678' <-> Res: 'form=000012345678'  Pass.
Test06(5), positive decimal check. Ref: 'form=004282621618' <-> Res: 'form=004282621618'  Pass.
Test06(6), positive decimal check. Ref: 'form=12345678' <-> Res: 'form=12345678'  Pass.
Test06(7), positive decimal check. Ref: 'form=4282621618' <-> Res: 'form=4282621618'  Pass.
Test06(8), positive decimal check. Ref: 'form=12345678' <-> Res: 'form=12345678'  Pass.
Test06(9), positive decimal check. Ref: 'form=4282621618' <-> Res: 'form=4282621618'  Pass.
Test07(0), floating point check. Ref: 'form=1.006250' <-> Res: 'form=1.006250'  Pass.
Test07(1), floating point check. Ref: 'form=-1.006250' <-> Res: 'form=-1.006250'  Pass.
Test07(2), floating point check. Ref: 'form=1.006250' <-> Res: 'form=1.006250'  Pass.
Test07(3), floating point check. Ref: 'form=-1.006250' <-> Res: 'form=-1.006250'  Pass.
Test07(4), floating point check. Ref: 'form=1.006250' <-> Res: 'form=1.006250'  Pass.
Test07(5), floating point check. Ref: 'form=-1.006250' <-> Res: 'form=-1.006250'  Pass.
Test07(6), floating point check. Ref: 'form=1.0063' <-> Res: 'form=1.0063'  Pass.
Test07(7), floating point check. Ref: 'form=-1.0063' <-> Res: 'form=-1.0063'  Pass.
Test07(8), floating point check. Ref: 'form=1.0063' <-> Res: 'form=1.0063'  Pass.
Test07(9), floating point check. Ref: 'form=-1.0063' <-> Res: 'form=-1.0063'  Pass.
Test07(10), floating point check. Ref: 'form=     1' <-> Res: 'form=     1'  Pass.
Test07(11), floating point check. Ref: 'form=    -1' <-> Res: 'form=    -1'  Pass.
Test08(0), floating point (exponent) check. Ref: 'form=1.025001e+05' <-> Res: 'form=1.025001e+05'  Pass.
Test08(1), floating point (exponent) check. Ref: 'form=3.250000e-08' <-> Res: 'form=3.250000e-08'  Pass.
Test08(2), floating point (exponent) check. Ref: 'form=-1.075001e+05' <-> Res: 'form=-1.075001e+05'  Pass.
Test08(3), floating point (exponent) check. Ref: 'form=-6.250000e-08' <-> Res: 'form=-6.250000e-08'  Pass.
Test08(4), floating point (exponent) check. Ref: 'form=1.025001e+05' <-> Res: 'form=1.025001e+05'  Pass.
Test08(5), floating point (exponent) check. Ref: 'form=3.250000e-08' <-> Res: 'form=3.250000e-08'  Pass.
Test08(6), floating point (exponent) check. Ref: 'form=-1.075001e+05' <-> Res: 'form=-1.075001e+05'  Pass.
Test08(7), floating point (exponent) check. Ref: 'form=-6.250000e-08' <-> Res: 'form=-6.250000e-08'  Pass.
Test08(8), floating point (exponent) check. Ref: 'form=1.025001e+05' <-> Res: 'form=1.025001e+05'  Pass.
Test08(9), floating point (exponent) check. Ref: 'form=3.250000e-08' <-> Res: 'form=3.250000e-08'  Pass.
Test08(10), floating point (exponent) check. Ref: 'form=-1.075001e+05' <-> Res: 'form=-1.075001e+05'  Pass.
Test08(11), floating point (exponent) check. Ref: 'form=-6.250000e-08' <-> Res: 'form=-6.250000e-08'  Pass.
Test08(12), floating point (exponent) check. Ref: 'form=1.0250e+05' <-> Res: 'form=1.0250e+05'  Pass.
Test08(13), floating point (exponent) check. Ref: 'form=3.2500e-08' <-> Res: 'form=3.2500e-08'  Pass.
Test08(14), floating point (exponent) check. Ref: 'form=-1.0750e+05' <-> Res: 'form=-1.0750e+05'  Pass.
Test08(15), floating point (exponent) check. Ref: 'form=-6.2500e-08' <-> Res: 'form=-6.2500e-08'  Pass.
Test08(16), floating point (exponent) check. Ref: 'form=1.0250e+05' <-> Res: 'form=1.0250e+05'  Pass.
Test08(17), floating point (exponent) check. Ref: 'form=3.2500e-08' <-> Res: 'form=3.2500e-08'  Pass.
Test08(18), floating point (exponent) check. Ref: 'form=-1.0750e+05' <-> Res: 'form=-1.0750e+05'  Pass.
Test08(19), floating point (exponent) check. Ref: 'form=-6.2500e-08' <-> Res: 'form=-6.2500e-08'  Pass.
Test09(0), text check. Ref: 'AbcdEFG' <-> Res: 'AbcdEFG'  Pass.
Test09(1), text check. Ref: '   AbcdEFG' <-> Res: '   AbcdEFG'  Pass.
Test09(2), text check. Ref: '  AbcdEFG' <-> Res: '  AbcdEFG'  Pass.
Test09(3), text check. Ref: 'AbcdEFG' <-> Res: 'AbcdEFG'  Pass.
Test09(4), text check. Ref: 'AbcdEFG' <-> Res: 'AbcdEFG'  Pass.
Test10, format poniter to nullptr, error code: (1)  Pass.
Test11, different type, error code: (3) '%s' (target float)  Pass.
Test11, different type, error code: (3) '%d' (target float)  Pass.
Test11, different type, error code: (3) '%c' (target float)  Pass.
Test11, different type, error code: (3) '%u' (target float)  Pass.
Test11, different type, error code: (3) '%p' (target float)  Pass.
Test12, pointer type check: (0)  Ref: '000000000064fcbc' <-> Res: '000000000064fcbc'  Pass.
Test13, floating point infinity check: (0) Ref: 'inf' <-> Res: 'inf'  Pass.
Test14, different type, error code: (3) '%s' (target integer)  Pass.
Test14, different type, error code: (3) '%f' (target integer)  Pass.
Test14, different type, error code: (3) '%p' (target integer)  Pass.
Test14, different type, error code: (3) '%g' (target integer)  Pass.
Test15(0), fixed point check. Ref: '0.10' <-> Res: '0.10'  Pass.
Test15(1), fixed point check. Ref: '0.49' <-> Res: '0.49'  Pass.
Test15(2), fixed point check. Ref: '0.73' <-> Res: '0.73'  Pass.
Test15(3), fixed point check. Ref: '0.98' <-> Res: '0.98'  Pass.
Test15(4), fixed point check. Ref: '1.00' <-> Res: '1.00'  Pass.
Test16 floating point '-1' check. Ref: '-99.000000' <-> Res: '-99.000000'  Pass.
Test17 floating point '%-' check. Ref: '-99.000000' <-> Res: '-99.000000'  Pass.
Test18 report pointer (char*) '%p' check. Ref: '000000000064fcc0' <-> Res: '000000000064fcc0'  Pass.
Test19 report pointer (int*) '%p' check. Ref: '000000000040f7a0' <-> Res: '000000000040f7a0'  Pass.
Test20(0), floating point auto check. Ref: '1e+06' <-> Res: '1e+06'  Pass.
Test20(1), floating point auto check. Ref: '1.41421e+06' <-> Res: '1.41421e+06'  Pass.
Test20(2), floating point auto check. Ref: '100000' <-> Res: '100000'  Pass.
Test20(3), floating point auto check. Ref: '141421' <-> Res: '141421'  Pass.
Test20(4), floating point auto check. Ref: '-100000' <-> Res: '-100000'  Pass.
Test20(5), floating point auto check. Ref: '-141421' <-> Res: '-141421'  Pass.
Test20(6), floating point auto check. Ref: '1000' <-> Res: '1000'  Pass.
Test20(7), floating point auto check. Ref: '1414.21' <-> Res: '1414.21'  Pass.
Test20(8), floating point auto check. Ref: '1' <-> Res: '1'  Pass.
Test20(9), floating point auto check. Ref: '1.41421' <-> Res: '1.41421'  Pass.
Test20(10), floating point auto check. Ref: '0.001' <-> Res: '0.001'  Pass.
Test20(11), floating point auto check. Ref: '0.00141421' <-> Res: '0.00141421'  Pass.
Test20(12), floating point auto check. Ref: '-1e-05' <-> Res: '-1e-05'  Pass.
Test20(13), floating point auto check. Ref: '-1.41421e-05' <-> Res: '-1.41421e-05'  Pass.
Test20(14), floating point auto check. Ref: '1e-05' <-> Res: '1e-05'  Pass.
Test20(15), floating point auto check. Ref: '1.41421e-05' <-> Res: '1.41421e-05'  Pass.
Test20(16), floating point auto check. Ref: '1e-06' <-> Res: '1e-06'  Pass.
Test20(17), floating point auto check. Ref: '1.41421e-06' <-> Res: '1.41421e-06'  Pass.

format class Version: 96
All Pass: 20/20

まとめ

  • C++17 対応のコンパイラなら、RX マイコンに限らず、他の環境でも使えると思う。
  • やった事は無いが、Arduino でも使えるものと思う。(C++17 がコンパイル出来れば・・)
  • CC-RX は C++11 さえ未対応なので使えない。

RXマイコンのクロック設定に「static_assert」を追加

RX マイコンのクロック設定

  • RX マイコンのクロック設定はかなり柔軟ではあるものの、設定が出来ない組み合わせも多々ある。
  • その場合、現状の実装では、微妙なクロックで動作していても、その異変を検出するのが難しくなってしまう。
  • そこで、C++11 から追加された「コンパイル時アサート static_assert」を使い、コンパイル時に、不整合を検出して、エラーで停止するようにした。
  • constexpr を組み合わせて、コンパイル時に複雑な条件を検出できる。
  • static_assert はコンパイル時に評価されるので、実時間に影響を与えない。

※何故、今まで使わなかったのか・・


clock_profile.hpp

  • 以前、Makefile で、各クロック周波数を外部から与えていたが、最近は、clock_profile クラスで定義するようにした。
  • この定義は、外部から簡単に参照出来るようにしてある。

RX72T の場合:

namespace device {

    class clock_profile {
    public:
#ifdef USE_USB
        static constexpr bool       TURN_USB    = true;             ///< USB を使う場合「true」
        static constexpr uint32_t   BASE        =  16'000'000;        ///< 外部接続クリスタル
        static constexpr uint32_t   PLL_BASE    = 192'000'000;        ///< PLL ベースクロック(最大200MHz)

        static constexpr uint32_t   ICLK        = 192'000'000;        ///< ICLK 周波数(最大200MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKA       =  96'000'000;        ///< PCLKA 周波数(最大120MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKB       =  48'000'000;        ///< PCLKB 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKC       = 192'000'000;        ///< PCLKC 周波数(最大200MHz)
        static constexpr uint32_t   PCLKD       =  48'000'000;        ///< PCLKD 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   FCLK        =  48'000'000;        ///< FCLK 周波数(最大60MHz)
        static constexpr uint32_t   BCLK        =  48'000'000;        ///< BCLK 周波数(最大60MHz)
#else
        static constexpr bool       TURN_USB    = false;            ///< USB を利用しない場合「false」
        static constexpr uint32_t   BASE        =  16'000'000;        ///< 外部接続クリスタル
        static constexpr uint32_t   PLL_BASE    = 200'000'000;        ///< PLL ベースクロック

        static constexpr uint32_t   ICLK        = 200'000'000;        ///< ICLK 周波数
        static constexpr uint32_t   PCLKA       = 100'000'000;        ///< PCLKA 周波数
        static constexpr uint32_t   PCLKB       =  50'000'000;        ///< PCLKB 周波数
        static constexpr uint32_t   PCLKC       = 200'000'000;        ///< PCLKC 周波数
        static constexpr uint32_t   PCLKD       =  50'000'000;        ///< PCLKD 周波数
        static constexpr uint32_t   FCLK        =  50'000'000;        ///< FCLK 周波数
        static constexpr uint32_t   BCLK        =  50'000'000;        ///< BCLK 周波数
#endif
    };

}
  • 上記のように、実際に設定する周波数を、整数で定義してある。
  • RX72T の場合、USB を使う場合と最大周波数で動作させる場合で、異なったプロファイルを使う。
  • 水晶発振子の場合、8MHz~24MHzまでを使う。
  • 細かい周波数の場合は多少注意を要する。
  • この定数は、CMT、MTU、SCI など、タイミングデバイスで、周期を計算する場合に参照される。

system_io::boost_master_clock()

  • 各クロックを切り替える関数では、設定出来ない場合にコンパイルを止める。
  • 分周して余りが出る場合もコンパイルエラーとなる。
  • PLL_BASE は、外部接続クリスタルなどから、PLL で、内部クロックを生成する。
  • PLL_BASE は 0.5 倍単位で、10 倍から 30 倍まで生成出来る。

ベース周波数のチェック

        static constexpr bool check_base_clock_() noexcept
        {
            bool ok = true;
            if(OSC_TYPE_ == OSC_TYPE::XTAL) {
                if(clock_profile::BASE < 8'000'000 || clock_profile::BASE > 24'000'000) ok = false;
            } else if(OSC_TYPE_ == OSC_TYPE::EXT) {
#if defined(SIG_RX72N) || defined(SIG_RX72M)
                if(clock_profile::BASE > 30'000'000) ok = false;
#else
                if(clock_profile::BASE > 24'000'000) ok = false;
#endif
            } else if(OSC_TYPE_ == OSC_TYPE::HOCO) {  // 16MHz, 18MHz, 20MHz
                if(clock_profile::BASE != 16'000'000 && clock_profile::BASE != 18'000'000 && clock_profile::BASE != 20'000'000) ok = false;
            }
            return ok;
        }

...

        static_assert(check_base_clock_(), "BASE out of range.");
  • RX72N、RX72M では、外部入力クロック時に 30MHz までを許容している。
  • それ以外は 24MHz
  • 内臓高速オシレータは、16MHz、18MHz、20MHz を選択出来る。

PLL ベースクロック

  • PLL ベースクロックは、BASE クロックを内部 PLL で0.5倍単位で逓倍する。
  • 10 倍~30 倍の設定が可能
            static_assert((clock_profile::PLL_BASE * 2 / clock_profile::BASE) >= 20, "PLL-base clock divider underflow.");
            static_assert((clock_profile::PLL_BASE * 2 / clock_profile::BASE) <= 60, "PLL-base clock divider overflow.");
            static_assert((clock_profile::PLL_BASE * 2 % clock_profile::BASE) == 0, "PLL-base clock can't divided.");

各モジュール分周器

  • 各モジュール分周器は、1, 1/2,1/4,1/8,1/16,1/32,1/64 を設定出来る。
  • RX72N、RX72M では、バスクロック(BCLK)だけ 1/3 を設定出来る。
        static constexpr uint8_t clock_div_(uint32_t clk) noexcept
        {
            uint8_t div = 0;
            while(clk < clock_profile::PLL_BASE) {
                ++div;
                clk <<= 1;
            }
            if(div > 0b0110) div = 0b111;
            return div;
        }

        static constexpr bool check_clock_div_(uint32_t clk) noexcept
        {
            auto div = clock_div_(clk);
            if(div > 0b0110) {
                return false;  // overflow
            }
            if((clk << div) != (clock_profile::PLL_BASE & (0xffffffff << div))) {
                return false;  // 割り切れない周期
            }
            return true;
        }

        static constexpr uint8_t clock_div_bus_(uint32_t clk) noexcept
        {
#if defined(SIG_RX72N) || defined(SIG_RX72M)
            if((clock_profile::PLL_BASE - (clk * 3)) < 3) {  // 1/3 設定の検出
                return 0b1001;
            }
#endif
            return clock_div_(clk);
        }

        static constexpr bool check_clock_div_bus_(uint32_t clk) noexcept
        {
            auto div = clock_div_bus_(clk);
            if((div & 0b0111) > 0b0110) {
                return false;  // overflow
            }
            if(div == 0b1001) {  // 1/3
                return true;
            } else {
                if((clk << div) != (clock_profile::PLL_BASE & (0xffffffff << div))) {
                    return false;
                } else {
                    return true;
                }
            }
        }

...

            static_assert(check_clock_div_(clock_profile::FCLK), "FCLK can't divided.");
            static_assert(check_clock_div_(clock_profile::ICLK), "ICLK can't divided.");
            static_assert(check_clock_div_bus_(clock_profile::BCLK), "BCLK can't divided.");
            static_assert(check_clock_div_(clock_profile::PCLKA), "PCLKA can't divided.");
            static_assert(check_clock_div_(clock_profile::PCLKB), "PCLKB can't divided.");
            static_assert(check_clock_div_(clock_profile::PCLKC), "PCLKC can't divided.");
            static_assert(check_clock_div_(clock_profile::PCLKD), "PCLKD can't divided.");

USB クロック

        static constexpr uint32_t usb_div_() noexcept
        {
            if(clock_profile::TURN_USB) {
                if((clock_profile::PLL_BASE % 48'000'000) != 0) return 0;  // 割り切れない場合
                return (clock_profile::PLL_BASE / 48'000'000);
            } else {  // USB を使わない場合は、常に「2」(リセット時の値)を返す
                return 0b0001 + 1;
            }
        }

...

            {
                static_assert(usb_div_() >= 2 && usb_div_() <= 5, "USB Clock can't divided.");
                // 1/2, 1/3, 1/4, 1/5
                device::SYSTEM::SCKCR2.UCK = usb_div_() - 1;
            }

まとめ

  • C++11 以降に追加された「static_assert」だが、今まで、何故か使っていなかったのか?(もったいない)
  • この少しの改造で、clock_profile で、無効な設定を書いても、コンパイル時に検出して、止める事が可能となった。
  • constexpr を使い、コンパイル時に計算や分岐も可能となるので、複雑な条件であってもコンパイル時に検出が可能となる。